「解決策を考える対話」と
「問題は何かを考える対話」は違う!
──「2 on 2」を実施する具体的な方法は『組織が変わる』を読んでいただくとして、メソッドの中には2 on 2の考え方に非常に面白いポイントがいくつも登場しますね。たとえば、「解決モードにならない」もその一つだと思います。
宇田川:それは大事なポイントの一つですね。
組織の慢性疾患には、
「部下から意見が出てこない」
「みんなが向かっている方向がバラバラ」
「部署間の連携がうまくいかない」
などいろいろありますが、実際には「何が問題なのかよくわからない」とか、「問題があることはみんな薄々感じてはいるけれど、どうしていいかわからない」ということに困っていることが多くありました。
そのとき、「ここで起きている自分たちが困っている問題って一体何だろう?」と考えていくことが大切です。
「どうやって解決していくか」を考えることも大事ですが、「何が問題か」がわからないと、上滑りになってしまいますよね。この上滑りを防ぐうえで、対話は不可欠だと思います。
──なるほど、2 on 2で目指しているのは何が問題なのかを解き明かすことなんですね。
宇田川:「何の問題に困っているのか」を考えていく前に、問題を単純化して解決しようとすることをつい私たちはやってしまいます。
組織の慢性疾患は、どうしてそういう状況が起こっているのかよくわからない、というのが特徴です。
なぜならば、原因は一つではなく、複雑だからです。
それを単純化して「これって、こういう問題だから、こういう方法をやっていくのがいいと思う」と解決思考になってしまうと、「今、何が問題なのか」という理解が深まりません。
「何が問題なのか」がわからないまま、問題を単純化して、すぐに解決策に飛びついてしまう(結果、全然よくならない)ということを繰り返してしまうことで、組織の慢性疾患はそのまま手がつかない状態になってしまいます。
だからこそ、対話には「解決策を見つける」に加えて、「問題は何かを考えていくもの」としての対話が必要なのではないでしょうか。