アイデアが降りてくる「3つの居場所」とはPhoto: Adobe Stock

集中力が落ちた。
あの頃は、もっと没頭できたのに──

私たちは今、スマホやPCに1日平均11時間を費やしていたり、リモートワークによる働き方の変化に追われていたりします。
「人のパフォーマンスを可視化するメガネ型デバイス JINS MEME」「世界で一番集中できる空間 Think Lab」などを手掛けてきた井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ』では、集中のプロとして、「これからどのように働けばいいのか」「どうやってパフォーマンスをあげるのか」を語ります。
脳科学的に、「やらされ仕事は4ヵ月しか続かないけれど、やりたいことは4年続く」と言われます。あなたが、夢中で何かに没頭できた体験。やらされ仕事ではなく、自らやってみようと思えたこと。何が原因かわからないけど、いつの間にか、『深い集中』が失われたすべての人へ、ノウハウをお伝えします。

「自分にとっての三上」で時間を過ごす

 偉人がアイデアを思いついた瞬間は、意外と何気ないときであることが多いと言われています。

 先ほどのセレンディピティと近い考え方で、古代中国から伝わる「三上(さんじょう)」というアイデアをひらめく状態を表現した言葉があります。それは、

・馬上:馬に乗っているとき
・枕上:寝床に入っているとき
・厠上:厠(トイレ)にいるとき

 という3つの場所のことです。

 馬に乗って移動していたり、ゴロンと横になったり、用を足したりしているときに、すごいアイデアが降ってくるということです。

 しかし、これは、先ほど述べたように、誰にでも起こることではなく、ちゃんと1つのことを深く考えた経験のある人にだけ、偶然、降ってくるものでしょう。

 セレンディピティは、深い集中で考えた後、ふと視線を上げて俯瞰で観察したときにおとずれます。

 これを私なりにもう少し定義すると、「1人でいるときに、通常と違う五感刺激があるとき」と考えることができます。

 自宅で家族のみと過ごしていると、どうしても、1人の時間が作れなかったり、通常と違う五感刺激を得ることが難しくなってしまいます。

 それを乗り越えるためには、嗅覚や触覚など「五感刺激」を取り入れながら、「1人の時間」の時間を作り出すことが重要です。1日の中で、セルフの時間が取れているか、自分にとっての三上になる瞬間を作れているかを見直してみてください。

井上一鷹(いのうえ・かずたか)
株式会社ジンズ執行役員 事業戦略本部エグゼクティブディレクター 兼 株式会社Think Lab取締役
NewsPicksプロピッカー(キャリア)
大学卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルにて大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事後、ジンズに入社。商品企画部、JINS MEME事業部、Think Labプロジェクト兼任。算数オリンピックではアジア4位になったこともある。
著書『深い集中を取り戻せ』(ダイヤモンド社)が好評発売中。