「仕事における優秀さ」
を見極める

もちろん「優秀な人間」がすべてダメというわけではありません。、期待通りに活躍してくれるケースもたくさんあります。

この失敗の後、経営企画室長として採用した人は、本当の意味で「優秀」でした。

でも、私がその優秀さ以上に評価したのは、彼の謙虚さでした。妙にへりくだった態度でもなく、愛想がいいわけでもない。

でも彼はそれまでの自分のキャリアをリセットし、新しい環境で素直に学ぼう、自分に必要なことは何でも吸収しようという気持ちを持っていました。その姿勢を「優秀かつ有能」と判断したのです。

「そのことについては、まったくの専門外なので教えていただけますか」
「すみません、次までには勉強しておきます」
「こういう考え方もありではないかと思うのですが、どうでしょう」

といった態度でコミュニケーションをはかれる。

こうした人物ゆえにすぐ会社に馴染んで周囲からも信頼され、持ち前の優秀さをいかんなく発揮してくれたのです。

早急に結果を求められている社長ほど、人のキャリアや成績、資格といった「目に見える優秀さ」だけに惹かれてしまいがちです。しかしそういうときこそ一歩引いて「優秀な人物」の真価を見極めなければなりません。

多様な人材が連携し、バランスを取り合って成立している会社組織で求められるのは、やはり「謙虚さとコミュニケーション能力という有能さに裏打ちされた優秀さ」なのです。

※「よそ者リーダーとはどんな人か」「よそ者リーダーが身につけたい3つの心構えやマネジメントとは何か」については、本連載の初回記事も併せてご覧いただければと思います。

次回は、真に受けてはいけない「部下の報告」についてお伝えします)