『週刊ダイヤモンド』6月12日号の第1特集は、「教師大全 出世・カネ・絶望」です。絶望を深める過酷な現場とともに、出世や人事、給与の面で教師の実態に迫り、彼らが抱える問題を多方面からえぐり出しました。このテーマの下、現役教師たちが内情を赤裸々に語る覆面座談会の後編をお届けします。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松野友美、臼井真粧美 前編は『学校で人事評価が始まり「みんな校長のごますりに」』

若い教師は「日教組に入るな」
と親から言われている

写真:学校Photo:PIXTA

――教師の労働組合(公立では教職員団体)には、長い歴史を持つ日教組、そこから分裂した全日本教職員組合(全教)、最近では私学教員ユニオンなど、いろいろな組合があります。しかし加入率はどんどん下がり、今や非加入が7割(公立学校教職員の加入状況)で「組合離れ」が起きています。A先生のエリアは組合がパワーを持っているんですか。

九州の公立学校教師A 組織率はとても低くなっていますけどね。

――どちらの組合?

教師A 日教組です。私はイデオロギーが入っていて選挙活動もバリバリやる。市、県、国などに議員を出すことを目指します。

 でも、職場ではそういう話はできません。田舎で保守的な土地柄なので。若い教師からは「日教組に入るなと親から言われています」とか「組合って政治活動ばっかりしているんですよね」とか言われます。実際にパワハラに遭った人とかは加入してくれるんですが。

 私自身も組合に助けてもらった経験があります。組合員は職場の小さな声を拾って組合上層部に上げていく活動を続けているし、歴史が長い分、培った知識は生きてはいます。

 世の中に出回っている組合のネガティブな話を耳にした若い人たちが「組合って駄目なんだな」と思い込んで参加してくれないままだと、衰退していくよねと思ったりします。

――A先生自身や周囲は職場の労働環境改善にも取り組んでいるにしても、日教組に限らず年配の組合幹部にはイデオロギーの活動ばかりの人がいませんか。

首都圏の私立学校教師C 現場の中で感じるのは、失礼ながら先輩幹部たちの実務的な能力が弱いこと。労働協約(使用者と労働組合の間の取り決め)なんて結ばなくたって口約束で大丈夫だと言ってきたり、就業規則や法律系の知識がない。恐ろしいぐらいに。

 介護のために短時間勤務できるはずなのに、組合員に対して、「いや~、就業規則にないから駄目ですね」と言って退職させちゃうなんてことが起きているんですよ。

 平和だとか憲法だとかは大事でしょうが、実務の力がこれでは「何だよ、職場の労働問題も解決できないのに」と見られてしまう。同僚たちから信頼を得られない。

学校の労働問題に詳しい労働組合(労組)関係者D それはまっとうなお話なんじゃないですか。私は組合の人に言ったことがあるんです。平和だとか憲法問題で国家権力と闘っているけど、もっとわがままに自分や身近な仲間を守る闘いをすればいいじゃないかって。嫌みでなく、本心から。

 あのときは私、誤解していました。大きい敵だから彼らは気楽に物が言えたんですよね。身近な敵と闘ったら、攻撃を食らってしまう。

首都圏の公立中学校教師B Dさんの言う通りなんですよ。私はアウトロータイプでつるむのが好きではなくて組合に入っていないんですが、私がパワハラに遭っているとき、組合の人は見て見ぬふりでした。日教組も頼りにならなくて、校長や管理職とつながって私に嫌がらせをする人もいました。

教師C 若い子たちは組合ってなんか怖いなと思っている一方で、頼れるものが欲しいとも思っています。「教職員組合はアカだ!」みたいに悪く宣伝する勢力もあるけど、そんなものを乗り越えられるぐらいに、職場で教師が生きるために必要な存在であると認識してもらえるか。そこが勝負どころだと私は思います。