業績 再編 給与 5年後の業界地図#1Photo:Pool/gettyimages

特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の#1では直近5年、業績、株価共に最も強かった半導体製造装置セクターを分析。最大手の東京エレクトロンは今期も22%増収、38%営業増益を見込み、足元も好調を維持している。「一寸先は闇」の変化が激しい業界だけに目が離せないが、米中対立激化による「半導体の地産地消」の動きも、実は半導体製造装置メーカーにとっては追い風となる。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

最高益ラッシュが続く半導体製造装置
米中対立の激化ですら追い風になる

「米中対立の激化こそが、半導体製造装置メーカーにとっては強い追い風になる」――。

 世界をリードする2カ国の対立は経済にとってマイナス材料が多い。だが、半導体製造装置メーカーにとっては事業拡大のチャンスとなる。

「世界的に半導体を地産地消にしようという動きが拡大している。米国で工場建設が進み、欧州も工場を誘致している。ある意味で非効率だが、半導体製造装置メーカーにとっては追い風となる」(大和証券の杉浦徹アナリスト)

 米中対立を抜きにしても、半導体業界の事業環境は良好である。データトラフィック量の増大、5G(第5世代移動通信システム)スマートフォンの本格化もあり、高性能サーバー向けの先端半導体だけでなく、自動車、家電、産業機器向けの汎用半導体まで、半導体不足が起きている。

 足元も半導体製造装置メーカーの業績は絶好調で、最高益更新を続ける企業がそろう。日本は半導体デバイスでは負け組だが、半導体製造装置では強さを維持。国内トップ企業の東京エレクトロンはこの5年で時価総額を約7倍にして、東証全体でも10位前後まで上昇している。

 社員の平均年収も東京エレクトロンは6年前の808万円から1149万円に、レーザーテックに至っては916万円から1311万円に増加。半導体製造装置メーカーはわが世の春を謳歌している。

 ただし、大事なのは中期的に強さを維持できるかということである。1988年には50%以上のシェアを誇った「日の丸半導体」のように競争力が低下するリスクはないのか。

 2020年にロジック半導体の最先端が5ナノ(1ナノメートルは10億分の1メートル)になり、22年には3ナノへの移行が見込まれるなど、微細化が進んでいる。今後5年を想定すると2ナノ、1.5ナノへの進化も視野に入るが、技術革新が進む中でも有望な企業はどこか。次ページ以降、5年後の業界未来図(下はサンプル)とともに、具体的に見ていこう。

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