ダイヤモンド・プレミアム(有料会員)ならダイヤモンド社のベストセラーが電子ブックでお読みになれます!月ごとに厳選して提供されるダイヤモンド社の話題の書籍から、ここでは一部を抜粋して無料記事としてお届けします。全体をお読みになりたい方はぜひダイヤモンド・プレミアム(有料会員)にご登録ください!今回は2021年7月提供開始の『親が70歳を過ぎたら読む本 相続・認知症・老人ホーム……について知っておきたいこと』。親が70歳を過ぎたら、親の状況に合わせて何をしておいた方がよいのかを知っておくことが大切です。
プロローグ
もし、あなたの親に何かあったら、
あなたの生活はどうなるか?
村田裕之 著
定価1650円
最近、40代、50代の私の友人・知人から、彼らの親に関する次のような便りを多く受け取ります。
「お元気ですか。現在、故郷の田舎町で認知症の母の介護に翻弄されています。特に、家内が精神的に耐えられなくなったため、二カ月前に母を病院の精神科に入院させました。病院の院長と母の今後について話し合った際、『お母さんを実家に戻して、夫婦お二人だけで介護するのは不可能です』と言われました。アルツハイマー型認知症というそうで、一番始末におえないそうです。院長には『辛くても、親とは思わず病人だと思った方が互いに幸せですよ』と言われました。この結果、退院と同時に介護施設に母の世話をお願いする決断をしました。大変辛いです。認知症さえなければ、家で一緒に過ごせるのですが、残念です」
悩み多き40代、50代の「サンドイッチ世代」
いま、私の周辺には、こうした切実な悩みを抱えている人が増えています。先日も、数年ぶりに会った50代の知人から、開口一番、「大阪の実家で一人暮らしをしている母の認知症が悪化して、仕事の合間に定期的に実家に帰っている。近いうちに年金で支払える範囲で、どこかの施設に入れないといけないので、そのうち相談に乗ってほしい」という話がありました。
ときどき、学生時代の同級会などで旧友たちに会って話をするときも、こうした話題が必ず出ます。また、年末近くになると、「喪中につき、年末年始のご挨拶を失礼させていただきます」という葉書が届きますが、その数は年々増えています。
40代、50代の多くは、まだまだ現役世代です。これら現役世代の親は、その多くが高齢期に差し掛かっています。40代、50代は、勤務先では一般に業務の中核的存在で多忙を極めていると同時に、家庭では10代後半から20代の子供を抱え、学費や仕送りなど何かと出費も増えている年代です。
アメリカには「サンドイッチ世代」という言葉があります。サンドイッチ世代とは、世話をしないといけない老親と養育義務のある子供とに「挟まれた世代」という意味です。サンドイッチ世代は、老親と子供に挟まれているだけでなく、姑と妻に挟まれたり、会社の上司と部下に挟まれたりしている、大変苦労の多い世代です。