転職サイト「ビズリーチ」などを運営する巨大スタートアップ、ビジョナル。『突き抜けるまで問い続けろ』では創業後の挫折と奮闘、急成長を描いています。ビジョナル創業者、南壮一郎氏の経営に大きな影響を与えた人物。それが楽天グループ代表の三木谷浩史氏。三木谷氏は、「おもしろいというのは、ファン(fun)ではなく、フルフィリング(fulfilling=充実)。自分が死ぬときにやってよかったなと思えばいい」といいます。(聞き手は蛯谷敏)

■インタビュー1回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「アントレプレナーだけが、世の中を変えられる」」
■インタビュー2回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「成功するには100%じゃ足りない。120%出し切る」」
■インタビュー3回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「僕の場合、ブレーキが壊れている。勝つまでやり続ける」」

楽天グループ代表三木谷浩史氏「僕にとっておもしろいはfunではなくfulfilling(充実)」Photo: Adobe Stock

――三木谷さんは前回のインタビューで勝つまでやり続けるとおっしゃいました。それは、メンタリティやマインドセットの部分も同じなのでしょうか。

三木谷浩史氏(以下、三木谷):そうですね。自分の脳の中の回路がどういうふうになっているかよく分からないんですけど、たぶんずっと思考のプロセッサーが動いていて、何かのきっかけで、「ああ、そうか」「こういうことかな」という感じでぱっと解が見える時があります。

 即断即決することも多いけれど、課題について迷っている時に何らかのきっかけでひらめく瞬間がある。それは、やっぱり常にどこかでそのことを考えているからだと思うんです。

 ほとんどの経営者はそうだと思いますが、基本的に仕事と私生活は一体化している。逆に仕事が楽しくてしょうがないという状況なんだと思いますね。それが、ひらめきの秘訣かも知れない。意識的ではなく、自然と何かを考えているのでしょうね、きっと。

――常にそうやっていろいろなことを考えてきたことが、クセになっているのでしょうね。

三木谷:意図的に何かあえてやっているというよりも、自然体です。もともと自分が会社員だった時から、日本を良くするビジネスを追求するというのが課題意識としてあって、本質ではそれが変わっていないということだと思います。

――数ある社会課題の中で、どれに取り組むかという選択基準は、どのように決めているのでしょうか。

三木谷:やっぱり、「これをつくると痛快だよね」「おもしろいよね」といった根源的な考えです。

 おじいちゃん、おばあちゃんが笑ったら、おもしろいよね、うれしいよね。そういう考えから、楽天もスタートしていますから。

 このおもしろいというのは、「ファン(fun)」じゃないんです。そうではなくて、「フルフィリング(fulfilling=充実)」というか。自分が、死ぬときにやってよかったなと思えばいいんじゃないですか。(談)

■インタビュー1回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「アントレプレナーだけが、世の中を変えられる」」
■インタビュー2回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「成功するには100%じゃ足りない。120%出し切る」」
■インタビュー3回目▶「楽天グループ代表三木谷浩史氏「僕の場合、ブレーキが壊れている。勝つまでやり続ける」」

楽天グループ代表三木谷浩史氏「僕にとっておもしろいはfunではなくfulfilling(充実)」 楽天グループ株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

 今回、紹介したエピソードのほか、ビジョナルの創業ノンフィクション『突き抜けるまで問い続けろ』では、起業の悩みから急拡大する組織の中で生まれる多様な課題(部門間の軋轢や離職者の急増、組織拡大の壁)に、ビズリーチ創業者たちがどう乗り越えてきたのかがリアルに描かれています。