いったいどこまで捨てれば家は片づくのか

片づけたいと思った時に立ちはだかるのが、あふれ返ったモノたち……。捨てればスッキリするのはわかっているけど、捨てられない。だから、ずっと片づかない。でもやっぱり片づけたい……。そんな堂々巡りを断ち切るためにはどうすればいいのだろうか? 最新刊『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』が話題の著者・片づけアドバイザーの石阪京子さんに、どれだけモノを捨てればいいのか、どうすれば手放せるようになるのか、具体的に聞いてみた。(取材・構成/森本裕美)

暮らしがうまく回らない=モノが多すぎる

――やっぱりモノは捨てないと片づかないのでしょうか。

石阪:散らかり度に差はあれ、モノが収納されずに出しっ放しになっているということは、自分が管理可能な量をオーバーしているということになります。

また、収納しにくかったり、しまう場所が明確に決まっていないということも片づかない原因です。

部屋が片づいた状態なら、モノのありかが一目でわかり、使ったモノを元に戻す行為がスムーズにできます。

――定位置を作れる程度までモノを減らす?

石阪:そうですね。リバウンドを繰り返している方は、「私、モノを捨てきっているのですが、収納がわからなくて散らかってしまう」とおっしゃる方が多いのですが、その場合でも、収納スペースのモノを全部出して、もう一度今の自分に必要か向き合ってみると、必ずモノを手放すことになります。

これまで1000軒以上を片づけてきましたが、モノを手放さなかった片づけは1回もなかったんですよ。

――今回の本の中に、「withコロナ時代の片づけは、捨てすぎてもダメだし買いすぎてもダメ。そのバランスが大切」と書いてありましたが、バランスはどう考えるのですか?

石阪:それは家事が楽に行えて、日常の暮らしや衣食住がスムーズに回るかどうかがポイントです。

モノがあふれて汚れたキッチンでは料理のやる気が出ないし、床にモノが散らばっていると掃除機もかけられません。

もちろん、誰でも面倒くさいと思う時はあると思うのです。今日は晩御飯を作るのが面倒くさいとかね。でも、それが過度にあるというのは、暮らしが回っていないということなので、モノの在り方を見直す必要がありますね。

例えば、私のお料理レベルだったら、たくさんのお鍋はいらないとか、トンカツ屋さんのようにキャベツを毎日食べるわけではないので、キャベツ専用のスライサーはいらないなとか。便利な道具はたくさんありますが、自分にとって本当に必要か?を自分で考えて答えを出していきます。

料理がしやすく、片づけやすいキッチンのために最も必要なのはスペースですからね。

キッチンの片づけをしていると、「先生は圧力鍋を使いますか?」と聞かれることがありますが、「自分が使っていないなら、不要じゃない?」とお答えしています。

料理研究家の方や、料理上手な友人と比べるのではなく、自分を基準に考えて、今の自分が最も使っている道具だけを残し、家事が素早くできるモノに絞ることが大事ですね。

いったいどこまで捨てれば家は片づくのか【before】もったいないので「捨てる」ということを考えたことがなく、モノが増えるいっぽう。それに伴い収納家具も増えていったため、生活スペースがほぼゼロに。子どもは3人いるが家族みんなで食卓を囲めないため、時間をずらして食べていた。
いったいどこまで捨てれば家は片づくのか【after】旦那さまが定年を迎えるのを機に、暮らしを変えようと片づけを決意。今の自分に必要なモノは何かを問いかけ続け、1年かけて片づけた。今は、家族がリビングに集まれるようになったことが一番嬉しいそう。