7割収納になるまでモノを減らす

――具体的には、本に書かれていたように「7割収納」を目指せばよいのでしょうか?

石阪:はい。モノは流動的なので、常にあるわけではないモノが家には必ずやってきます。そういったモノを置く場所がないと、つい机の上に置きっぱなしにしたりして、どんどん散らかっていきます。

――空間がなければ、しまうところがないからそのへんに置いてしまいますもんね。

石阪:そうなんです。でも3割のゆとりがあれば、一時的に置く場所ができる。例えばそれは一時的に預かっているモノとか、今度お会いする時にお渡しするお土産とか。クリーニングから返ってきた服も、今すぐカバーを外してハンガーにかけたいんだけど、時間がないから日曜日にやろうっていうのを、クローゼットの中で保留にしておくことができるんですね。そうすると、床に置きっぱなしのモノがないので散らからないんですよ。

――一時的にモノを置く場所というのは、押し入れとか、隠せる場所がいいんですか?

石阪:そうですね。「見える場所は美しく」と考えています。床置きのモノから散らかりは始まります。例えば食器棚だったら、食べかけのパンをしまう場所があるとか、頂き物のお菓子をしまう場所があるとか。食器棚だから食器しかしまわないって思われるかもしれませんが、風邪をひいて処方された薬なども一時的に食器棚に保管する場所があればテーブルに出しっぱなしのモノはなくなるんですよ。

――たしかに、食べかけのパンって置き場所がなくて困ります。

石阪:食べかけのままのパンがテーブルにポンと置いてあると、読みかけの新聞や郵便物、さまざまなモノを家族がちょい置きし始め、気づけばダイニングテーブルの上がモノでいっぱい…という状況に心当たりがある方は多いと思います。

そんな状況を回避しようと、とりあえず百円ショップでカゴを買ってきたり、少々お値段のするブレッドケースなどオシャレなケースを置いたりするのですが、今度はそれを置く場所に困ったり、カゴがたくさん増えてしまって、モノがあふれることになったお家もたくさんみてきました。

ですが、食器棚の中に3割程度の空きスペースが常にあれば、食べかけのパンや、処方された薬を置く場所が確保できます。見た目も美しいく、ホコリも被らず衛生的ですよね。

そういったゆとりのスペースを生み出すには、たくさんあるマグカップを家族1個ずつにするとか、要不要を見極める必要がありますね。

いったいどこまで捨てれば<br />家は片づくのか【before】モノを詰め込みすぎて、ブラックホールと化した押入れ。押入れは、布団をしまう前提で造られているため奥行きが深く、奥のモノが取り出しにくく詰め込みがち。
いったいどこまで捨てれば<br />家は片づくのか【after】モノを厳選して7割収納を実現。布団をしまっても、まだスペースにゆとりがある。ケースの中も7割収納になっているので、一時的にモノを入れておくことも可能。

忙しい人ほどモノを使っていない

――やっぱり相当捨てないと、7割収納は遠いですよね……。

石阪:でもね、忙しい人ほど家にいる時間が少ない分、使っているものは本当は少ないと思いますよ。

モノを前にしたら、使っているか使っていないかを考えて、収納枠に入れる優先順位をつけて厳選していけば、必ず適正量にすることができるのですが、モノのほうが空間より大事だと思っていると、なかなか手放せないです。

たとえば引き出物の綺麗な小さい入れ物など、使う用途もないにもかかわらず、高級品で「頂きモノだし、見てたら可愛いので手放せない……」と、おっしゃる場合も、その空間に、食べかけのパンやお菓子、飲みかけの薬や季節のフルーツなども置けると便利じゃないかなあ?とお伝えすると、「あっ!それ良いですね!その方が良いかも!」と想像できて、処分できたりします。