就活本に初めて「自己分析」の考えを取り入れた本として
13年連続大学生協第1位のベストセラーを誇る『絶対内定』シリーズ。
ただ内定をとるためだけではなく、「心から納得のいく進路が見つかる」「本当にやりたい仕事がわかる(やりたいことに気づける)」「自分らしく働ける会社と出合える」「入社してから『こんなはずじゃなかった』と後悔しない」ための1冊であることが大きな特徴だ。
これまで9800人以上に就職・転職指導をし、その第一志望内定率が93%というキャリアデザインスクール「我究館」がもつノウハウがこのシリーズには詰まっている。
コロナ禍で価値観が大きく変わるなか、会社選びも大きく変わってきている。
自分らしい働き方とは、生き方とは…、
今、じっくり自分と向き合う時間を『絶対内定』と過ごす就活生が増えている。
親と就活についてコミュニケーションがとれず苦しむ学生が激増しているという。今回は就活生の子を持つ親が気をつけるべきことや、子どもへの適切なサポートについて我究館館長の藤本健司氏に聞いた。
(構成/藤本健司、ダイヤモンド社・朝倉陸矢)

「子どもの就活がうまくいかない親」の共通点と親がするべきサポートとはPhoto: Adobe Stock

就活へ前向きに取り組んでいたはずの学生から、「親とうまく就活の話ができず、とても苦労した」ということを聞くことが多い。もちろん、学生(子ども)側に問題がある場合もある。だが、子どもの就活がうまくいかなくなってしまう親には共通点がある。それは、「子どもの話を聞いていない」ことだ。

自らが就活したときには無名だった企業、存在していなかった業界を子どもが志望する可能性は大いにある。そんなとき、頭ごなしに「○○はダメだ」「○○業界に行きなさい」などと言ってはいけない。これから社会に出て、実際に仕事をするのは自分ではない。親の価値観だけで話さないように心がけたい。

また、一時期話題になった企業説明会に同席するような親も、子どもの話を聞けていないことが多い。話を聞いていないから、いつまでも安心できず過保護になってしまうのだ。このタイプの親は、我が子を強く思うがゆえにコントロールしたいという思いが強い。やはり、子どもの価値観を尊重することが必要だ。

会話していないと最後に苦労する

なぜ、親子で就活について話し合う必要があるのだろうか。それは、会話がない状態では「子どもと親の価値観の齟齬(そご)」という問題が解決されず、先延ばしになるだけだからだ。親が話を聞いていないと感じると、子どもは就活に関する話をしなくなってしまう。

そうすると、就活の最終盤である「入社先の最終決定」や「就職留年の決断」というタイミングで、親は状況を打ち明けられることになる。そして「なぜもっと早く相談しなかったのか?」となり、さらに大きく揉める。大学4年の7月になって初めて「就職留年したい」と親に打ち明けた学生の話を聞いたこともある。こうした事態は双方にとって避けたいはずだ。

話を聞くために心がけるべきこと

親と子のコミュニケーション不足を防ぐために、親としては「我が子の話をよく聞く」意識を持ち続けたい。それには「受容する力」が必要になる。

「良いところも、悪いところもすべて個性」
「やりたいことや目標に、優劣はない(個人差である)」

と心がけながら、話を聞くのだ。

これを踏まえつつ、いつでも就活の相談ができる親子関係を作っておきたい。とはいえ「就活はどんな調子?」という声のかけ方では、子どもはプレッシャーを感じやすい。可能であれば、就活が本格化する前から「将来どんなことをやりたいのか?」という話をできるようにしておきたい。仕事や将来のことについて話しやすい環境づくりがたいせつだ。

親がするべきサポートとは?

話をしっかり聞いてあげること以外にも、有益なサポート方法がある。「信頼のおける社会人を紹介してあげる」ことだ。子ども自身が信頼できる人に「社会人訪問」できるよう、協力してあげてほしい。

就活において、この社会人訪問は非常にたいせつである。なぜなら、志望企業(業界)で働いている人から直接話を聞くことで、企業説明会や就活サイトにはない情報を知ることができるからだ。さらには、会った人の「仕事をしていて感じたこと」や「日々の仕事内容」を聞けば、働くイメージが鮮明になる。このように、社会人訪問は絶好の企業研究の機会なのである。また、社会人訪問を通して大人との会話に慣れておけば、面接対策にもなる。

信頼できる社会人を見つける手助けを

ただ、学生の立場ではなかなか信頼できる大人に出会うのは難しい。社会人訪問のプラットフォームをネット上で提供しているアプリやサービスもあるが、悪意のある人を完全に排除できているとは言い難い。

さらに、学生はどうしても年齢が近い20代、30代とだけ会ってしまいがち。だが、管理職世代の40代、50代とも積極的に会っておくべきだ。同じ会社でも、世代によって雰囲気や会社への考え方が違うことはよくある。この世代の人たちが最終面接の面接官を務めることも多いので、話すことに慣れておきたい。

そこで、親から助け舟を出してあげてほしい。子どもが志望する企業や業界に、信頼のできる知り合いがいないか探し、紹介してあげるのだ。そうすれば、親子双方が安心して、社会人訪問に臨める。自然と出会う社会人の年齢層も広がる。また知り合いであれば、子どもへの印象やアドバイスといったフィードバックを、親も聞きやすいというメリットがある。このフィードバックは、親子間で就活の会話をするときのトピックにもなる。

私の経験上、社会人訪問はすればするほどインプットとアウトプットの機会が増え、学生は磨かれ、内定に近づいていく。有益な出会いの機会を増やす協力をぜひしてあげて欲しい。

藤本健司(ふじもと・けんじ)
我究館館長
千葉大学教育学部卒業後、(株)毎日コムネット入社。営業に配属され、2年目に優秀社員賞、3年目に社長賞を受賞。2012年「世界の教育問題に対峙したい」との思いから、青年海外協力隊としてケニア共和国で活動。3年間、JICAや現地の省庁と連携し、児童福祉施設における情操教育やカウンセリングに携わり、「人は志や気づきによって大きな成長を遂げられる」ことを実感する。2016年より(株)ジャパンビジネスラボに参画。我究館学生校の主担当コーチとして大学生をサポート。外資系投資銀行、コンサルティングファーム、総合商社、広告代理店など、難関企業に多数の内定実績がある。