不動産の価格が下がり、家賃はそれほど下がらなければ、不動産価格に対する家賃収入の割合(「利回り」と言います)は上昇するわけです。また、金利も下がったので、金融機関から融資を受けて賃貸用物件を購入する際の借入金利よりも、利回りのほうが高くなり(これを「イールドギャップ」と言います。運用利回りと借入金利の差のことです)、融資を受けて物件を購入し、家賃を得るというインカムゲイン狙いの不動産投資が成立するようになりました。
市場では、物件価格に対する利回りが年10%の物件は、探せば普通にあります。他方で借入金利は年2%として、「運用利回り-借入金利」(イールドギャップ)はプラス8%となります。
つまり、バブルの頃には不動産投資に手が出せなかったサラリーマンも、金融機関から低金利で融資を受け、不動産を購入し、家賃収入(インカムゲイン)を得られるようになりました。また、サラリーマンは金融機関に対して信用があるので、長期間の融資を受けやすいという長所があります。
さらに、売る際にうまく売れば、買ったときより高く売れることもあるので、キャピタルゲインも得られます。ただ、やはり基本は長期保持によるインカムゲイン狙いとなります。不動産は、継続的に家賃収入があるということで「ストックビジネス」の典型とされます。なお、継続性がないビジネスを「フロービジネス」と言います。
不動産投資は、時間がたつほどに収入が蓄積され、金融機関への返済が進んで借入金の元金が減る(つまり資産部分が増える)という意味で、「時間を味方にする投資」と言えます。時間は誰にでも平等なので、この「時間」を資産を生み出すために活かすことで、大きな資産を築くことが可能です。
特徴(2)
実物であること
不動産は実物そのものが資産で、かつ、収益を生み出すものなので、まず、インフレに強いです。インフレ時には現金・預貯金の価値は目減りしますが、不動産は実物資産であり売却時の物価相当の価格になるので、その価値はそれほど目減りしません。
実際は、日本は長くデフレですが、デフレでも家賃はそれほど下がらず一定の収益を生み出しています。つまり、インフレ、デフレにかかわらず、危機の時代は実物資産が好まれます。実物資産の中でも不動産は家賃収入を生み出すという点で、金やプラチナといったほかの実物資産と違います。さらに、土地・建物の価値が完全にゼロになることがないことも不動産の長所です。
特徴(3)
この世に一つだけのもの
不動産は、みな、この世に一つしかありません。いわゆる区分マンションも、別の場所にあれば立地が違いますし、同じ建物でも部屋が違えば別物です。これを「特定物」と言います。
特定物とは、取引の目的物として当事者がそのものの個性に着目した物で、そうではない「不特定物」と民法などで区別されて扱いが異なります。不動産は新築でも土地のみでも、この世に一つしかないという、まさに特定物の典型です。動産も、たとえば中古車だと特定物になります。
特徴(4)
金額が大きい
投資対象とする不動産の種類にもよりますが、少なくとも数百万円以上のお金が動きます。価格変動そのものは少ないのですが、金額自体が大きいため、資産も利益も大きくなる一方で、損失も大きくなる可能性があります。