住宅ローン控除の期間は、繰り上げ返済しすぎると損をする

住宅ローンで損をしないために、これだけは絶対に忘れないでほしいたった1つのこと日下部理絵、小林義崇著、サンマーク出版、定価1540円(本体1400円+税)

日下部 これ、『すみません、2DKってなんですか?』の本にも書いたんですけど、当時、一部繰り上げ返済の手数料が銀行によって全然違うっていうのを、借りたあとに気がついて。同じマンションの住民の方と話をしたら、私は三菱だったんですけど三井の人は手数料が違うと。いまはどちらもインターネット経由だと無料になったんですけど、繰り上げ返済の手数料がかかる金融機関とかからない金融機関があって、結構大きいなって思ったんですよね。

小林 手数料がなければ、お金の余裕があればどんどん繰り上げ返済していくっていうのが正しいんでしょうね。

日下部 いまは、インターネット経由なら一部繰り上げ返済の手数料が無料という金融機関は増えてはいますが、一応そこも確認しておくといいかもしれません。あと、一番最後の繰り上げ返済を全部繰り上げ返済というんですが、その手数料って、3万円とかするんですよ。『2DK』の本にも書いたんですけど、繰り上げ返済のときに、これで最後ですってなって、残金すべて繰り上げ返済すると、期限前完済手数料が取られちゃう。一部繰り上げ手数料はゼロでも、完済手数料はかかる金融機関が多いんです。

小林 なるほど。かからないようにする方法はありますか?

日下部 あります。最後の1ヵ月分の引き落としを、繰り上げせずに残しておくと完済手数料がかからないんです。でも繰り上げ返済は、住宅ローン控除の期間はあんまりやらない方がいいですよね。

小林 そうですね。元本が減るとローン控除の節税額がどんどん減っていっちゃうので。

日下部 いまローン控除の期間は、マックス13年ですか?

小林 13年ですね。

日下部 じゃあ、13年間の期間が終わるまでは、繰り上げ返済をしすぎると損なのかもしれないですね。

小林 そうなんですよね。そこはセオリーですね。今は金利が低いので、繰り上げ返済の効果もそこまで大きくない。であれば、まずはローン控除を最大限使い切って、それから繰り上げ返済するっていうのが基本ですね。

日下部 あと、何かあったときのために手元にお金を残しておくという意味で、あえて返さないっていう方も結構多いですよね。もっと強者だと、残ったお金でちょっとした運用をしちゃうという人もいます。

小林 いま金利が0.5%くらいですもんね。たしかに運用すれば、利ザヤが出ますね。

日下部 ただ銀行に預けているだけだったら、繰り上げ返済しちゃった方がいいですけど、まとまったお金があった方がお子さんの学費とか、いざってときの余裕が欲しいなら、あんまり慌てて返しちゃうのも考えものですね。

小林 コロナもあって、基本的にいま皆さんお金を必要とされているので、政府としてもお金を借りやすくするっていう方向になると思います。だから、お金を積極的に刷っていくっていうことになると思うんですけど、そうすると、この先も金利が上がる要素はないですね。

日下部 いま上げちゃうと、デベロッパーが次々潰れるだろうっていう説も聞きますし……。

小林 だから、住宅ローンは固定と変動のどっちがいいですかって、よく聞かれますけど、そこは変動にしたからといって急に金利が上がるっていう状況でもないと思います。金利の負担って、固定の方が倍くらい違いますから、変動にしておけば月々の支払いは抑えられます。

日下部 あとは住宅ローンでは、ネット銀行は手軽なんですけど、結構、審査が厳しいので、給料の振込とか公共料金とか日頃から付き合いのある金融機関をつくっておくといいかもしれないですね。

小林 そうですね。

日下部 同じ人でも、ここの銀行は通って、こっちは通らないとか、本当に住宅ローンの審査って不思議ですね。

小林 そうですよね。審査項目が、はっきり明らかに公開されてないですからね。借金の有無だったり、収入だったりというのは間違いなく見られますが、どれくらいのレベルなら通るのかは、何とも言えません。

つづく(次回は、10月17日に掲載予定)