2.「組織の横串」は通さない
これも「あれ?」と思った人が多いのではないでしょうか?
「全体像」を考えるのであれば、様々な組織の利害関係を調整して、特定組織の利害関係を中心としたセクショナリズムに陥るのではなく「横串を通して調整する」ことが必須なのではないかと思った人も多いかも知れません。
ところが、これがまさに「ゼロベースで考えられていない」思考回路の典型例なのです。
川下発想にどっぷりはまってしまうと、「既存の組織や縄張りから発想する」ことがよくも悪くもしみついてしまっています。川下では必須の「組織力学に熟知して、それらをうまく調整する」という発想そのものが、既存の枠を取り払ってゼロベースで考えることの最大の阻害要因なのです。
川下的発想だと、始めから様々な関係者や組織、あるいは分野毎、地域毎の法律や規制が頭に浮かんでしまいます。もちろん川下でも「全体最適を狙おう」という意図は強いので、これらの「壁を取り払おう」という発想で組織間の壁を貫く「横串を通そう」という発想になるのですが、アーキテクトはあくまでも更地から(制約条件がない状況で)ゼロから考えるわけですから、「そもそも横串の通す対象がない」のです。