ファイナンス理論、ロジカルシンキング、エクセル技術などは、
全てコモディティ化される加工技術
皆さんの周りで資格をたくさん保有している人はいないでしょうか。簿記2級を取得したら次は英検準1級、その後は色彩検定といったように、次々と新しい資格を取っている人は資格マニアと呼ばれます。
もちろん資格をたくさん取得すること自体は悪いことではなく、それを業務に生かして結果を出している人たちも多くいます。ただ、問題はそれらの知識がすべてコモディティ化しつつあるということです。
かつて日本にはMBA保有者が数えるほどしかいなかったため、MBAを保有しているだけで他者との差別化が図れました。
しかし、今ではビジネススクール自体の数も増え、MBAを保有している人の数は激増しました。
また、MBAで習得できるスキル自体もオンライン講座や書籍などで分かりやすく解説されています。そのため、今ではMBAで習得するスキル以上に、参加者や卒業生とのネットワーク構築の方が重要視されることが増えました。
さらには、これらのスキル自体が人工知能(AI)などのデジタル技術によって代替されつつあります。かつて投資銀行やコンサルティング会社のアナリストは、膨大な企業データをエクセルに打ち込んでから分析に取り掛かっていましたが、今では既存のデータベースがボタン一つで同じ分析をしてくれます。
この流れは文化・芸能・芸術分野でも顕著です。
2016年には公立はこだて未来大学のきまぐれ人工知能プロジェクト「作家ですのよ」が生み出した作品が「星新一賞」の一次審査を通過していますし、2017年には将棋のソフトウェア「PONANZA」が佐藤天彦名人に勝利しています。我々が見聞きしているものの多くが既にAIによって制作されつつあるのです。