「2番ではダメですか?」かつて政治家のこの発言が話題となったが、1位以外は、取りようによっては全員負けである。アスリートとして、世界一を目指してきた為末大は、結果が2位、3位であってもなお、「一番を目指すこと」が大切だと語る。その理由とは…。
人の真似をしている限りは、
ずっと2番のままだ
人間のコンプレックスは、自分が属す(もしくは属している・属したいと思っている)社会の基準に沿っている。そして、それが社会の基準からきているということも、そこから離れてみるまで気がつかない。
同じようなことが陸上のグランドでも起こっている。
スター選手と自分の動きを比較して自分ではダメなのだと感じ、その自分にコンプレックスを抱く。だが、たいてい勝つのは誰かの真似をしている選手ではない。まるで違う路線をひた走っている人間が次のチャンピオンになる。
人の真似をしている限り、残念ながら、ずっと2番手のままだ。
誰かの真似が、誰かの劣化コピーで終わってはいけない
20代前半は僕も人の真似ばかりしていた。あれはあれでよかったのかもしれないけど、「もっと違うことに時間を割いたほうがよかったのではないだろうか」と思うこともたくさんある。
僕が「自分のものさし」みたいなものを意識したのは、たぶん20代の後半だった。
世の中には、実にさまざまな「軸」が存在する。
誰かの真似が、誰かの劣化コピーで終わってはいけない。真似から始まったとしても、そこから自分なりの法則を見つけ出し、世間の目や評価や比較の世界から半歩くらい下がって、「本当にそうなのかな」と自分に問いかけ、自分なりの「軸」を作ろうとする癖をつけておくこと。
一番を目指すためには、大事なのだと思う。