短距離男子の選手は皆、世界一の記録保持者ウサイン・ボルトに勝ちたいと思って追従するが、当のボルトは「伝説を作る」ために走っている。
一番とそれ以外の人の、目指す世界の違いはそこにあるのかもしれない。
負けは悪いことではないが、
慣れないほうがいい
負けや失敗は悪いことではない。でも、負けには慣れないほうがいいと思う。
別の言葉でいうと、こんな感じだ。
「負けたくないけど、負けている自分も悪くない」
失敗したくないけれど、失敗は成功の母。否定しなくていいけれど、肯定し過ぎてもよくないよねという感覚。
勝ちを目指す競技者の中にも、負けるのがへっちゃらな選手がいる。そういう選手は、やはりどこか勝ちへの執着心が鈍い。譲れない何か、絶対につかんでやるぞ!という野心やこだわりみたいなものがなくて、どこかふわっとしている。負けたのにヘラヘラ笑う人もいる。
心底、一番になりたくないのか
「負けても平気」な人かどうかは、始まる前と終わった後の顔でわかる。
負けた直後に顔が引きつっている選手は、相当負けたくなかったんだろうなと感じる。けれど、驚くほどさっぱりしている人もいる。単に悔しさを隠すのがうまいだけなのかもしれないけれど、記者会見やインタビューの受け答えまで時間が経過すると、その本心が露呈する。