──この本を、どんな人に読んでもらいたいですか?

田中:わたし自身がそうなので、まずは「人と会って話すのがしんどいな」と思っている人に、読んでラクになってほしいです。無理して話さなくてもいいよ。無理して聞かなくてもいいよ、と。それと、会話をすることで「何かコスパのいい成果が得られたらいいな」と思っている人に「いやその考え方はしんどいから、もうちょっとラクにしゃべろうよ」と。

──最後にぜひ聞いておきたいんですが、『会って、話すこと。』はどういう本ですか?

田中:それは編集者が定義すべき。

今野:えっ、そんな『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいな質問、いきなりですか。

──すみません。最後にプロフェッショナルにお願いします。

今野:……そうですね。「他人と生きていくための生き方の本」だと思います。これまで生きてきた中で、大切だと思う人との会話を思い出してくれたらうれしいですし、これからの大切な人との会話の糧になれたら、こんなコロナ禍の中でこの本を作った我々が救われます。

──田中さんからもお願いします。

田中:「自己啓発書」です。去年、まさにダイヤモンド社で、糸井重里さんと古賀史健さんと三人で鼎談したんですね。そのとき「ちょっと馬鹿にされる言い方だけど、自己啓発って言葉も捨てたもんじゃないよね」って話になったんです。本当の意味での自己啓発って「コスパ良くする」とか「得をする」とか「うまいこと生きる」とか、そういうことではなくて「自分に気づく」ってことじゃないか、と。

この本でも「あなた、人に興味持たれてないよね」「あなたも、人に興味ないよね」といきなり書いていて、そこからもう自己啓発です。もしかしたら「俺はめっちゃ人に興味持ってるよ」って言う人もいるかもしれないけど、本当にそう思っているか、もう一度考えてもらえたらなと。他人と話す前に、自分と話してもらえたらなと。

──自分に気づくところから、『会って、話すこと。』は始まっていると。

田中:はい。そして究極は「気楽に、機嫌よく生きてほしい」。それに尽きます。そして、わたしに害を及ぼさないようにしてほしい。これは強く言いたい。

ツイッターにいる人は、とくに!

(連載おわり)

「人と話すのが苦手」な人が、苦手なままラクになれる考え方

 

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田中泰延(たなか・ひろのぶ)
1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。学生時代から6000冊以上の本を乱読。1993年株式会社 電通入社。24年間コピーライター・CMプランナーとして活動。
2016年退職、「青年失業家」と称し、インターネット上で執筆活動を開始。 Webサイト「街角のクリエイティブ」に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」が累計500万PV超の人気コラムになる。その他、奈良県、滋賀県、広島県、栃木県などの地方自治体と提携したPRコラム、写真メディア「SEIN」などで連載記事を執筆。映画・文学・哲学・音楽・写真など硬軟幅広いテーマの文章で読者の支持を得る。
2019年、ダイヤモンド社より初の著書『読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術』を刊行。2020年、出版社・ひろのぶと株式会社を創業。
Twitter: @hironobutnk

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