マニュアルに書かれた通りの文言を
繰り返せばいいというものではない

頭角を現す人は必ずやっている! 接客1年生のうちから習慣にしてほしい大切なことPhoto: Adobe Stock

 問題は、マニュアルの存在そのものではなくその使い方です。

 マニュアルに書いてあることの中には厳守すべき安全衛生上の手順もあれば、お客さまの様子に合わせて臨機応変にすべきことの両方が記載されていることが多いです。そして、後者は接客においてサービス品質を左右するものでもあります。

 接客1年生の場合には「言われたことができる」「マニュアルに書いてあることができる」というだけで十分かもしれません。

 しかし、いつまでも1年生でいるわけではありません。後々頭角を現す人は、マニュアルに書いてあることの意味や目的を理解しようとします

 ですから、接客1年生であったとしても「なぜそれをやるのか」という目的を読み取ろうとする習慣を身につけてほしいと思います。

「何が何でもそうしなければならないことなのか? お客さまの満足度を優先したほうがいいことなのか?」と、状況や優先順位を考えることを習慣にしてほしいのです。

 そのような習慣がなく、ただそのままマニュアルに書かれた通りの文言を繰り返す接客事例をいくつかあげます。

 たとえば、会計をするときに財布からポイントカードを出す素振りを見せているのに「ポイントカードはお持ちですか?」と聞く、店に入ってすぐにアルコール消毒をしようとしているのに「アルコール消毒お願いします」と言うなどです。これらはいずれも「確認がとれればいいこと」です。わざわざマニュアルに書かれた文言を言わずとも「見ればわかること」ですよね。

 マニュアル通りにそれを言ったからといってクレームになるようなことではありませんが、「今やろうとしているでしょ?」「見たらわかるでしょ?」「マニュアル通りの接客だね」という小さなモヤッとを感じさせない接客ができるといいですよね。