株式投資をする人にぜひ読んで欲しい1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。クイズを解きながら「株のトレードで勝つ技術」を身につける画期的な1冊だ。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。何万回にも及ぶ膨大な数のトレードから確立した「トレードで勝つ技術」を1冊に凝縮した本書から、特別に一部を抜粋して紹介する。

株トレPhoto: Adobe Stock

「ゴールデンクロス」とは?

 短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下から上へ抜けていくところは、ゴールデンクロスと呼ばれます。

 株価が徐々に上昇基調を強めるところで出ることが多いので、「買いシグナル」となることもあります。

 ただし、ゴールデンクロスには「だまし」も多く、私はそれだけでは信頼しません。

 5日移動平均線と25日移動平均線で作るゴールデンクロスは短期シグナルで、短期トレンドが変わるたびによく出ます。

 13週移動平均線と26週移動平均線で作るクロスは中長期シグナルで、中長期トレンドが変わる時に出ることがあります。

無数にあるゴールデンクロス

「ゴールデンクロスが出たら買い」はわかりやすいシグナルです。

 でも、私はゴールデンクロスだけでトレードすることはあまりありません。

 どの移動平均線を見て、ゴールデンクロスを判断して良いかがわからないからです。

 次のチャートは、下落トレンドが終わって株価が底打ち、上昇に転じていくチャートです。

6本の移動平均線6本の移動平均線で形成される無数のゴールデンクロス

 移動平均線がたくさん引かれています。5日・10日・15日・20日・25日・30日の6本の移動平均線です。

 ここには、ゴールデンクロスがたくさん出ています。

 5日線が10日線を下から上へ抜けたゴールデンクロスが最初に出ます。

 最後に、25日線と30日線のゴールデンクロスが出ます。

 一番早いものと遅いもので20日の差があります。

早すぎても遅すぎてもダメ

 このように「ゆるやかな上昇から始まり徐々に加速していく」素直なチャートでは、どのゴールデンクロスで買ってもきちんと上昇してくれます。

 こういうチャートなら、期間の短い移動平均線で出る早いシグナルのほうが、期間の長い移動平均線で出る遅いシグナルより勝っています。

 ただ、現実には、こんな風にきれいに上昇が加速していくチャートはめったにありません。

 上がると見せかけて、途中で息切れして下げに転じる銘柄もよくあります。

 早いシグナルで買うと、そういう「だまし」に遭いやすくなります。

 上昇ピッチが加速し、売りが引っ込み、買いがどんどん増えてくる時に買ったほうが「だまし」に遭いにくくなります。

 そのためには、期間の長い移動平均線によって遅く出るゴールデンクロスを見たほうが良いと言えます。

 でも、長い移動平均線ばかりを見ていると、シグナルが出るのが遅すぎて、株価の上昇は終わった後かもしれません。

 早すぎても遅すぎても、具合が悪いわけです。

銘柄ごとに「固有のクセ」がある

 激しく乱高下する銘柄には、短期の移動平均線で出るシグナルが合います。

 株価がいつもゆるやかに動く銘柄は、長期の移動平均線のシグナルが合います。

 銘柄固有のクセがあり、銘柄によってどの移動平均線を見たら良いかが異なります。

 そのクセを体で覚えるために、デイ・トレーダーのなかには毎日同じ銘柄でトレードを繰り返す投資家もいます。

 ソフトバンクグループや任天堂はトレーダーが好んで売買する銘柄です。

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)