マネジャーと現場で異なる要求
課長クラスのマネジャーが、事例に紹介したように、上司である部長クラスのマネジャーと現場で働く部下との板挟みになり、苦労することはよくある。上司と部下の板挟みになるのは、ミドルマネジャーであればどの階層でも起こることであるが、新任の課長層のマネジャーにとっては初めての上下からの板挟み経験となるため、上司からの目標設定や指示と、現場からの要望や苦情の調整に戸惑うことが少なくない。
現場で働く部下は「現場のことは自分たちが一番よく知っている」という自負がある。一方で、往々にして上司の部長は現場から離れがちであるし、別件で多忙になりがちという状況も、板挟みの辛さを強めることがある。マネジャーは単なる伝達役ではないので、いずれの声も聴き、時には説得をすることも必要なのだが、そのバランスを適切にとることは容易ではない。
企業による特性もある。日系の大企業ではまだ人事部が力を持っており、上司の一存ですべての評価が決まるわけではない。一方で外資系(特に米系)の企業では人事考課で上司の考課の比重が高い。日本企業でも、新しい企業などはそうしたやり方をとることがある。極端な場合は、上司に気に入られないと生き残れないという企業も存在する。そうした企業では、心の中では葛藤を抱えながらも、上司に媚び、その目標設定や指示を下に押し付けざるを得ないことになる。当然、部下からは不満が出て、その不満に消耗してしまうことも多いのだ。今回のC課長はそうした立場にあると言えるかもしれない。