「戦略」とは戦いそのものではなく……? 新刊書籍『ザ・ビジュアルMBA 経営学の要点を学べるスケッチノート』は、リーダーシップや財務・会計、マーケティングなどに至るまで全20科目を視覚的にざっとつかめるのが良いところ。しかも全20科目について、監訳の星野リゾート代表・星野佳路さんのワンポイントレッスンまで付いています。今回は第10章「戦略」について星野さんがどう考えるのか、またその重要な視点のひとつである「差別化」について本書の一部を紹介します。

「戦略」とは戦いそのものではなく…

星野佳路(ほしの・よしはる)
株式会社星野リゾート代表
1960年長野県軽井沢生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程を修了。帰国後、91年に先代の跡を継いで星野温泉旅館(現星野リゾート)代表に就任。以後、経営破綻したリゾートホテルや温泉旅館の再生に取り組みつつ、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」などの施設を運営する“リゾートの革命児”。2003年には国土交通省の観光カリスマに選出された。

「戦略」とは何か。まず星野リゾート代表・星野佳路さんのワンポイントレッスンを紹介しよう。

私の中で「戦略」というのは、戦いそのものではなく、「戦う前の準備」を指す。市場競争でどう戦うかではなく、どういう戦いになるかを予想して、いざ戦う時に有利になるために何をしておくべきかだ。

織田信長が戦国時代の競争の中で台頭した背景には、鉄砲隊の充実があった。この場合の戦略は、鉄砲をそろえることではなく、鉄砲を買い集める資金をどう集めるかである。この章に出てくる「低コスト戦略」にしても、低コストがいいというのは決まりきっているわけで、問題となるのは、どうやって低コストで顧客満足度を取る商品やサービスを提供できるかである。マイケル・ポーターの「戦略とは何か」という論文はそれを理解する上で秀逸だ。

ここからは『ザ・ビジュアルMBA』本文の一部をご紹介していこう。

まず、よく耳にする「競争戦略の5つの力(ファイブフォース分析)」とは何だろう? それは、競争戦略論のマイケル・ポーター教授が提唱した、業界の構造を分析する手法のひとつだ。

・新規参入の脅威
・買い手の交渉力
・代替品の脅威
・売り手の交渉力
・業界内の競合

この5つの力が、長期的な企業の収益性を左右する。

脅威が大きければ大きいほど、収益性は下がる。

脅威に対して防衛するか、脅威の少ない業界を見つけるかしたほうがいい。

差別化要因を見つけて狙った顧客層に訴求すれば、ライバル会社の広告は効果を失う。

顧客が自然に自分たちを選んでしまうような、あっと驚く何かを提供しよう。