みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#22では、2005年当時のみずほフィナンシャルグループ社長だった前田晃伸氏のインタビューをお届けする。
「みずほ統合から3年。旧行意識はなくなったのか」という編集部の問いに対し、「旧行意識なんて言葉は久しぶりに聞いた」と前田氏は答えている。しかし、その旧行意識を要因の一つとするみずほのシステム障害があと2回続くことを知っている現代の私たちには、その言葉はあまりに空虚に響く。
旧行意識はもはやない
トップへの情報遮断が大敵だ
●前田晃伸(みずほフィナンシャルグループ社長)
――(2006年3月期)第1四半期決算は、中間期の当期利益予想を2700億円と、500億円上方修正するなど、好調だった。
過去、不良債権を集中的に処理してきたため、財務面での懸念はなくなった。しかし、日本経済はまだデフレが続いており、決してみずほは復活した、と言える状況ではない。システム統合もようやく終えたので、これからはマーケティング力で差をつけて、収益力を増していける環境が整ったと考えている。
――グループ外の企業との業務提携を矢継ぎ早に打ち出している。
みずほは日本の上場企業の7割と取引があるが、日本全体を押さえているわけではないから、守りに入れば負ける。
これからも、法人、個人ともに事業ごとに強みを持つパートナーと提携することで、そのマーケットでのトップを目指していく。ヘタに強い相手と提携すると、顧客を取られる、という声も聞こえてくるが、そもそも守るほどのものは持っていないのだから、取られるものなどなにもない。そう考えたほうが、もっと強くなれる。
――グローバルで時価総額トップ5の銀行になると宣言しているが。