書くと不安がなくなる。自分自身が整理される。そう経験的に感じている人も多いだろう。だが、それはなぜか、どういう書き方が効果的なのかを知っている人は少ない。不安な時代こそ、知識やスキルを焦って付け足すのではなく、自分を深く知ることが大切だ。答えを自分の外にではなく、内に見出すこと。そのために有効なのが「書く」ことだ。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、行き着いた最も効果的な習慣は「書く」ことだった。必要なのはノートとペンのみ。自分と向き合い、本当に大切なことに気づけば、生き方は今よりずっとシンプルになる。自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

【5万人を変えた習慣化のプロが伝授】<br />頭と心を整理する5ステップPhoto: Adobe Stock

毎朝15分、頭と心を整える

「書く瞑想」は、日々の感情と向き合い、浮かぶ言葉を頭で邪魔せずに、感じるままに紙に書き出します。

 本来の瞑想の意味は、「心を静めて無心になること、何も考えずリラックスすること、深く静かに思いをめぐらす」ことを言います。

「書く瞑想」は、心とダイレクトに向き合い、深く静かに心・気持ちを探りながら、言語化を通じて芋づる式の対話を行うプロセスです。

 感情の赴くままひたすら書くことで様々な想い、感情が立ち現れてきます。湧き上がってくるものをひたすら書いていくといいのです。

 あれこれ考えずにひたすらノートに書き出していくと瞑想的な状態になっていき、表面的な気持ちから不足している欲求や価値観、願望を汲み上げてくることができます。

 思考に頼るのではなく、内臓感覚にアクセスして、心から湧き上がってくる言葉を芋づる式に、連想ゲーム的に言葉を出していきます。

 マイナス、プラスの感情を両方出すことにより、心と生活の乱れを整えていきます。

 何よりここでは自分の「内側の声」に耳を傾けることを大切にします。

 良い生活や良い心の状態、良い人生の形には「正解」はなく、人それぞれ「最適解」があるだけです。これは、自らが感じていくしかありません。

 では、書く瞑想の書き方と手順を整理しておきましょう。

 それぞれどのようなステップで、どれくらいの時間をかけて行えばいいか、1つの推奨モデルを書いておきます。

 100%この通りにやらなくてもいいですが、推奨の方法があることで、自分なりにカスタマイズしやすくなると思います。

「書く瞑想」は、心を整理して1日をスタートする儀式として、朝に行うことをお勧めします。夜でもいいのですが、1日の放電は、その日が終わってみないと振り返れないものです。

 また、朝書くことで心を整え、良い気持ちでスタートできますし、一般的に朝の時間の方が突発的な用事が入りにくいので、夜よりコントロールがしやすいという事情があります。

 ただ、ここも人によりけりです。試して自分のスタイルを見つけていきましょう。

書き方の5ステップ

 これからの作業は、カウントダウンタイマーを使うことをお勧めします。

 だらだら書くと際限がなくなりますし、メリハリなく時間をかけすぎると、そのうち億劫になって「今日は時間がない」と挫折していく原因になります。

 書く瞑想は、集中して書くこと、マインドフルに書くことが重要です。

 書く順番は、放電(エネルギーを下げたこと)から充電(エネルギーを上げたこと)へログ(箇条書き)からセルフトーク(独り言)へという流れをお勧めします。

 最後に充電にいった方が気持ちが上がりますし、放電と充電はまとめて書いた方が心のモードがごちゃごちゃにならなくていいからです。

 最初は1週間ぐらいこの方法で書いてみて、どうしても合わないようであれば自分に合ったやり方にカスタマイズして構いません。

 大切なことは日々書き続けることにあるからです。次の5つのステップがあり、時間は全部で15分が目安です。

ステップ1:瞑想(1分)

 まずは、心を静めます。「今、ここ」にいる感覚を作らないと、自分が感じていることにフォーカスできません。

 タイマーをつけて、1分のアラームが鳴るまでは目をつぶり、深呼吸して心静かにします。深い瞑想は不要です。

 1分の瞑想はあくまで書く前の簡単な切り替えだというぐらいで取り組んでください。

ステップ2:放電ログ(3分)

 放電ログは、「1日で自分の心のエネルギーを下げた出来事」を書くことです。

 不安、葛藤、焦り、自己嫌悪、怒り、劣等感などを感じた出来事を網羅的に吐き出していくことです。時間は3分間です。

 仕事、家庭、日常生活に目を向けて感情をマイナスに揺さぶっている要因を書いていきましょう。

 5つぐらいを目安に書くといいでしょう。

ステップ3:放電セルフトーク(4分)

 放電セルフトークは、「今、何が一番嫌なのか、つらいのか?」と問いかけ書き出します。

 頭で考えず、芋づる式に湧いてくる心のつぶやきを拾いながら、ただひたすら文章で書いていきます。

 あれこれ網羅する必要はありません。むしろ、1つの書き出しから深めていくことがポイントです。

【5万人を変えた習慣化のプロが伝授】<br />頭と心を整理する5ステップ「書く瞑想」の書き方見本

ステップ4:充電ログ(3分)

 充電ログは、「1日で自分の心のエネルギーを上げた出来事」を書くことです。

 良かったこと、感謝していること、楽しかったこと、嬉しかったこと、成長できたことなどです。

 大した出来事でなくて構いません。心や日常に、ささやかにでも存在する充電を1つ1つ拾い出し書き出していきましょう。

 こちらも5つぐらいを目安に書けるといいでしょう。

ステップ5:充電セルフトーク(4分)

 充電セルフトークは、「今、一番良いと感じていることは何か?」と問いかけ、書き出します。

 充電感情で満たされながら終えていくことで、いい気持ちで締めくくることができます。

(本原稿は、『書く瞑想 1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)