相続人が手続をする場合

 医療サービスの提供を受けていた方がお亡くなりになってしまった場合には、相続人が手続をすることにより、本来支給されるべきだった金額の給付を受けることができます。

 受け取った金銭は、遺産分割協議の対象になりますので、他の相続人に高額療養費の存在を伝えることを忘れないようにしましょう。

必要書類と提出先

 相続人が申請をする場合、「故人との続柄がわかる書類(戸籍謄本等)」「病院に支払った領収書」が必要になります(申請先によっては、他の添付書類が必要になることもあります)。

 提出先は、国民健康保険・後期高齢者医療保険の場合は、故人がお住まいだった市区町村の担当窓口、健康保険(会社員等)の場合は協会けんぽまたは健康保険組合となります。

 なお、申請先次第では、申請できる人は相続順位が一番高い相続人に限られる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

手続は2年以内に!

 高額療養費の支給を受ける権利の消滅時効は、診療を受けた月の翌月の初日から2年です。したがって、この2年が経過していなければ遡って申請ができますが、期限を過ぎてしまうと申請ができなくなってしまいます。

 ちなみに、相続後に受け取る高額療養費は、相続税の対象になりますので、申告の必要な方は注意しましょう。また、相続放棄を検討している方は、高額療養費の申請をすると相続放棄ができなくなる可能性がありますので、慎重に検討してください。
(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものです)