リーダーやマネジャーに求められるのは
「従来の仕事」に「本人の楽しい」をくっつけること
―― 若い人たちにとって「魅力を感じられる組織」にしていく上で、大事なことは何だと思いますか。
やっぱり「エモーション」だと思います。
「エモーション リワード」(感情の報酬)の話を(この連載でも)しましたが、いかにエモの部分に応えていけるか。そこは重要だと思っています。
会社に対するロイヤリティが何に生まれるかと言えば、会社自体というより、目の前の先輩であったり、上司であったり、仲間だったりするんですよね。会社は抽象的なものなので。
一対一の人間同士のなかで生まれるコミュニケーションだったり、信頼関係、人とのつながりはとても大事だと思っています。
もちろん、なかには「ドライな関係」を望む人もいますが、それも含めて「この人はどんなエモを求めているのか」を捉えていくのはすごく大事だなと感じます。
―― それだけエモが重要視される時代にあって、組織のリーダーやマネジャーには何が求められますか。
その人自身の「楽しい」とか「嬉しい」「おもしろい」をいかに引き出していくか。そのアレンジがリーダーやマネジャーにはすごく求められると思います。
本人が何を楽しいと感じるのか、何をすると嬉しいと思うのか。自分の強みをどのように捉えているのか。
まずはそこを引き出すことが重要です。
「嬉しい」を引き出したほうがやる気になる可能性は高いわけじゃないですか。つまらないより、楽しいほうがやる気は出る。
やる気が出た方が業績は上がるし、本人も成長する。
会社にとってもいい話ばかりです。
だからこそ、本人のエモの部分に寄り添うことが重要なんです。
そして、本人の「嬉しい」「楽しい」を「従来の仕事」にいかにくっつけることができるか。そんな仕事のアレンジができるか。
それがリーダーやマネジャーに求められることだと思います。

―― 今、多くの会社で「1on1」のような面談を実施するようになっていますが、何のために「1on1」をやるのか。そんなところにもつながってくるお話のように感じます。
まさに、そうなんです。
サイバーエージェントでも2005年から「月イチ面談」という、いわゆる「1on1」を推奨しているんですが、一番のポイントは「ズレを減らす」ことなんです。
上司が「今、議論したいこと」と部下が「議論したいこと」は、常にズレるものなんです。
何が一番ズレやすいかと言えば、やはり「中長期の話」なんです。
転職とか、キャリアの話はなかなか話しづらい面もありますからね。
でも、だからこそ、上司から聞いてあげる。ときどきでいいので、中長期の話を聞いてあげる。それはすごく大事ですね。
そこに、本人の思いだったり「嬉しい」「楽しい」「やりたい」が含まれているでしょうし、そこを理解したうえで、会社が求めていること、その人に期待していることなどを伝え、「従来の仕事に本人の嬉しい、やりたい」をくっつけていく。
そういうコミュニケーションを続けていると、本人も安心して働けますし、自分の成長を感じながら働くことができると私は考えています。