「部下の報告書がわかりにくい…」と思ったことや、渾身の企画書にダメ出しを受けた経験はないだろうか?その原因は、あっけないほど単純なものだ。特集『最強の文章術』の#9では、経営コンサルタントとして活躍する中野豊明氏が、コンサル流の文章術を伝授する。外資系コンサル会社時代に徹底的に磨きをかけた、「ビジネスパーソンの習得すべき文章術の極意」とは?
優秀なのに仕事で埋もれる人の「書き方」には
周りがドン引くクセがある
世界最古の文字といわれるエジプトのヒエログリフやメソポタミアの楔形文字は、紀元前5000〜3000年には存在したといわれている。また、旧約聖書には紀元前2000年ごろからの歴史が描かれており、文書として原典が編纂(へんさん)されたのは紀元前5世紀ごろからだという。
人類の文字や文書に取り組む歴史の古さには圧倒されるが、それにも増して、こうした文字や文書を残した人の「何かを伝えたい衝動」には、魂を揺さぶられる思いがする。人は伝えたい何物かがある時に、それを文字にし、文書にするのである。
しかし、一方で、私は長年のコンサルタント経験を通じて、文書にはもう一つ別の意図があると確信している。
あなたは、部下の報告書を読んでも一向に要領を得られず、電話やメールで確認したり、席に呼び寄せて追加の説明を求めたりしたことはないだろうか。
もしくは逆に、自分では良く書けたと思った企画書なのに幾度も書き直しを命じられたり、ダメ出しをされたことがないだろうか。
その原因は、あっけなく単純なものだ。