対面と変わらない授業の
クオリティを提供するには
このような変化の中、私たちスプリックスは、オンライン個別指導塾「そら塾」を開校。1997年の創業以来、様々な教育コンテンツを展開してきた知見を活かしながら、テクノロジーに可能性を見出し、コロナ禍における教育格差是正に挑んできました。
そら塾が始まったのは、コロナ禍の第一波真っ最中であった2020年6月1日です。それからおよそ1年間の間に、生徒数は順調に伸びています。コロナ禍にあって、対面の塾に行かせるのが不安だという保護者の声や、対面授業は怖いという生徒の声をいち早くキャッチし、それに応えるためにスピーディに行動したことが功を奏したのではないかと感じています。
そら塾は、自宅にいながらスマートフォンを活用し、講師1人に生徒2人までという個別指導を手軽に受けられることが最大の強みとなっています。ステイホームで身を守りながら、対面と同等のクオリティの授業を受けられる。実はこのそら塾は、最初の企画段階からたった2カ月で開校を実現しています。なぜこれほど短期間のうちに、新たな形式の塾を完成させることができたのでしょうか。
4月の緊急事態宣言によって、私たちが運営する個別指導の森塾による対面授業が不可能になりました。そのため、オンライン授業に切り替えざるを得なくなりました。しかし森塾では、生徒と講師のコミュニケーションを重視しながら、生徒の「やればできる」を育ててきました。そのため、当初はオンライン形式で対面と変わらない質の授業を提供することができるのか、大きな不安もありました。
しかし、私たちには創業から20年以上にわたって培ってきた教え方のノウハウや、オリジナル教材という武器がありました。そして、
「成績を上げることで生徒の人生に貢献する」
「生徒に『やればできる』という自信と将来の選択肢の広がりを提供する」
という森塾の理念をブレさせることがない限り、教育の場はオンラインでもオフラインでも成り立つはずだと考えました。
保護者の皆さんには、ステイホームを厳守しながら子どもをコロナから守りたいという強い思いがあるはずです。しかし一方で、自主学習には限界を感じ、学力の低下を懸念されているご家庭も多いことと思います。映像学習等で家庭学習を進めていたご家庭も少なくないでしょう。
そんな中で、そら塾ではオンライン形式とはいえ、生身の講師が寄り添って教えるため、生徒の集中力やモチベーションも維持されやすい。保護者はもちろん、生徒の皆さんにも授業のクオリティを感じていただけると確信したことで、本格的にそら塾のシステム構築を進め、企画から2カ月余りで開校にこぎつけたのです。
保護者と生徒のニーズを
愚直に受け止める文化
そら塾の開校を後押しした背景には、顧客ニーズに真正面から向きあってきたスプリックスの文化もありました。私たちは創業当初から、保護者と生徒のニーズをもっとも重視し、それ以外の雑音には気を取られることなく学習塾の運営に邁進してきました。コロナ禍という誰も予測できなかった緊急事態の中でも、ニーズを愚直に受け止めるという根幹があったからこそ、従来最適と考えてきた対面の授業スタイルから一転、柔軟に頭を切り替えて迅速なオンライン化が実現できたのだと考えています。
もちろん、教育ノウハウがあっても、授業のシステムをオンラインに落とし込んだり、オンラインに適したメニューを開発することは、容易なことではありません。システム開発を外注していたとしたら、2カ月という短期での開校は不可能だったでしょう。しかし当社には、重要な役割を果たしてきたIT部門がありました。創業当初から対面による個別指導の塾を運営してきましたが、同時に成績や問題のデータ分析、そして教材開発などを行うためのテクノロジーにも大きな投資を行ってきました。今では、年間数億円の研究開発費をコンスタントに投資しています。
自前でシステムを組むことができるという強みがあるため、細かい要望や変更点も社内でスピーディに対応することが容易であり、短期間で理想のシステムを構築することも可能になっています。これはそら塾に限らず、スプリックスが創業から20年以上にわたって実践してきた、教育事業の改善にも役立てられています。