「楽楽精算」「楽楽明細」がけん引して30%超の成長を続けるラクスの中村崇則社長は、「採用は今も過去も未来も課題」と話す。ダイヤモンド編集部のインタビューでは、採用力の強化が非常に重要であるとして、社員数について「あと4年間で3倍強に増やしたい」との青写真を掲げた。実はラクスも、先述の『平均年収が「5年で100万円超増えた」大企業ランキング【全60社】 2位アサヒ、1位は?』に名を連ねる、代表的な「待遇成長企業」の一社だ。

 とりわけエンジニアなどのIT領域で人材不足が叫ばれる中、3社のような企業は、人手を増やしながら業績拡大に結び付けてきた。いずれも事業面では、独自性が高く強固なモデルを構築しているが、こうしたテンバガー(10倍株)企業がさらに好業績をたたき出していけるかどうかは、外部環境もさることながら、ひとえにIT人材の確保の成否が鍵を握るといえるだろう。

エムスリー上回る高成長メドピアは
従業員数が5年前から5.7倍に

 5年前比の株価上昇率が10位だったのは、医師向けコミュニティーサービス「MedPeer」を運営するメドピア。同社もDXの恩恵を受けながら、実はあのエムスリーを上回る高成長を実現してきた医療IT企業だ。先述の3社に数こそ及ばないものの、従業員数は21年9月期末で272人(連結ベース)と、5年前に比べ5.7倍に急増している(同社の詳細は本特集#10『医療ベンチャー、メドピア社長が明かす売上高40%成長の源泉は「医師との距離感の近さ」』参照)。

 株価上昇率が4位だったエスプールは、障害者雇用支援という珍しい業態を主軸とする。IT系の企業ではないが、多くの日本企業がやりたくてもできない「値上げ」を着実に遂行し、市場で有望銘柄として期待を集める存在だ(詳細は本特集#14『障がい者雇用支援で急成長のエスプール、創業者が明かす次の成長戦略「BPO事業」の全貌』参照)。

 なお、株価上昇率2位には半導体製造装置を手掛けるレーザーテックが入った。供給不足が叫ばれる半導体の関連株の動向については、本特集#9『レーザーテック、TSMC…「半導体銘柄」へのウクライナ危機の影響、買い時は?【国内外厳選9銘柄】』で、業界全体の動向の他、特に注目したい銘柄をピックアップしたので参考にしてほしい。

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