私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
今回は、平和を司る神様の紹介です。今、何もできないと歯がゆい思いをしている人も多いでしょう。すぐにできることは少ないかもしれません。それでも、戦争を止めたい、そう思う人は参考にしてください。

戦争から世界を守る神様オオクニヌシPhoto: Adobe Stock

平和祈願におすすめの神様

 ロシアによるウクライナ侵攻により、改めて戦争を身近に感じ、心を痛め、考えさせられた方も多いでしょう。神社界では、埼玉県上里町の菅原神社に奉職するウクライナ出身の神職さんが注目を集め、同神社で頒布しているウクライナ語での御朱印を求める人が多いようです。

 過去、神社において戦争に関する祈願は主要なものでした。戦場に赴く人たちや、送り出す人たちが、勝利や武運長久(ぶうんちょうきゅう)、無事を祈願したものです。現代日本では、攻撃的な祈願よりも、平和を望む祈願が多数でしょう。そんな平和を望む人におすすめの神様・神社をご紹介します。

 平和の神様といえば、出雲大社のご祭神オオクニヌシでしょう。日本神話を代表する英雄で、国づくりの神様として知られます。オオクニヌシの真骨頂が「国譲り」の神話。オオクニヌシは自身がつくり統治した国を、「譲れ」と迫ってきたアマテラス陣営に譲ってしまいます。この時、荒っぽい交渉はあれど、戦争はせずに譲ったのが特徴でした。

 オオクニヌシの国譲りを実践したのが、江戸幕府15代将軍の徳川慶喜です。最後の将軍となった慶喜は、大政奉還、そして江戸城無血開城と、人口100万人を超える江戸とその住民を戦火に巻き込まずに、新政府に降伏。徳川慶喜の英断により、戦禍による国力の大幅な低下を招かなかった日本国は、外国の侵略を免れ、先進国の仲間入りをしました。

 国を一からつくったオオクニヌシは、もっとも国を民を愛する神様です。そんなオオクニヌシを祭る神社は、出雲大社(島根県出雲市)を始め、出雲大社の分祠(愛媛県松山市、大阪府堺市、神奈川県秦野市、東京都六本木など)、出雲大神宮(京都府亀岡市)、北海道神宮(北海道札幌市)、大國魂神社(東京都府中市)などに祭られています。

 世界を愛し、豊かな世界をつくることをご利益とするオオクニヌシの神社で、世界平和をご祈願ください。

*本原稿は、『最強の神様100』の著者による書き下ろしです。