全世界で700万部を売り上げた学び直しシリーズ、「Big Fat Notebook」の日本語版がついに刊行! 大栗博司氏(カリフォルニア工科大学教授)「この一冊で、科学の全貌が見渡せる。中学生のころにこんな本がほしかった」、市岡元気氏(教育系Youtuber)「学校で習う理科がこんなにおもしろいなんてアリエナイ!」、吉森保氏(大阪大学栄誉教授)「カラフルで面白い。ノート風なので読みやすい。大人の学び直しにも最適」と各氏も大絶賛。物理・生物・化学・地学の基本を楽しく一気読みできる本として、大きな話題を読んでいる。
同シリーズの科学版『アメリカの中学生が学んでいる14歳からの科学』の発売を記念して、本文の一部を公開する。
「免疫系」は自分専用の「軍隊」のようなもの
免疫系は、感染や病気と闘って身体を守ってくれている。自分専用の軍隊さながら、有害な侵入者と戦ってくれるのだ。
非特異的免疫
免疫系は身体を守るために、まさに軍隊のようにさまざまな戦術を駆使している。第一の防衛線は、物理的な障壁(城壁のようなもの)である。
・呼吸器系の粘液と繊毛は、気道に入ってきた病原体を捕らえて外に出す。
・唾液や、胃の中の酸は、多くの種類の細菌を殺す(ちょうど、中世の城を守る兵士が、襲撃してきた軍勢の頭上から熱い油を掛けるようなものだ)。
ときにはこれらの防御をものともせずに、病原体が傷口などから体内に侵入することがある。でも慌てないように。君の身体は、そのような病原体と闘うための増援部隊を用意しているのだ。
白血球
体内に侵入した病原体と最初に対峙するのは、獰猛な戦士である白血球。白血球は、侵入した細菌などの病原体を消化して破壊してしまう。白血球にはさまざまな種類があり、それぞれ違う役割を果たしている。たとえばマクロファージは、出合った病原体を片っ端から力尽くで飲み込んで破壊してしまう。
受動免疫と能動免疫
身体がみずからの力で免疫を獲得することもあれば、外部の力に頼って獲得することもある。身体が病原体を撃退すると、その病原体に応じて抗体が生成される。その抗体は、同じ病原体が再び襲ってきたときに備えて、体内で保存される。そうして免疫が獲得される。このように、身体がみずから抗体を作って獲得した免疫を能動免疫という。
一方、別のところで作られた抗体をもらうことで免疫を獲得する場合もある。身体自体は何もせず、抗体をもらうことで獲得する免疫を、受動免疫という。たとえば赤ん坊は、母親のお腹の中や、生後は母乳から、受動免疫を獲得する。
ワクチン
ワクチン接種の際には、不活性化した少量の病原体を注射する。すると、身体がその病原体に免疫反応を示して、抗体を生成する。その抗体は血液中に留まり、本物の病原体と出合ったときの戦いに備える。
炎症
ひざをすりむいたり指を切ったりすると、その周囲が赤く腫れ上がって熱を帯び、ズキズキと痛むことがある。これを炎症という。感染やけがによって傷ついた細胞からは、血流を増やす化学物質が周囲に放出され、それによって炎症が起こる。血流が増えると、よりたくさんの白血球がその場所に集まって病原体と闘い始めるのだ。