世界最先端の革命的認知症治療に取り組む、認知症研究30年超の医学博士。
白澤卓二氏が、患者への指導はもちろん、自身が健康長寿をまっとうするために実際に取り組む食事法を紹介した健康レシピ本『認知症専門医が毎日食べている長寿サラダ』が完成した。
私たちはどうしたら、健康で長生きできるのでしょうか。
この連載では、食事を通して健康長寿を目指す方法をお伝えしていきます。

感染予防と若返りのW効果!<br />旬の野菜ほど多くとれる成分とは?Photo: Adobe Stock

野菜や果物の色や香り成分に注目

 体の老化を進め、免疫力を低下するのは、活性酸素のしわざです。活性酸素の害から身を守るには、植物が持つ天然の抗酸化成分=フィトケミカルが大切です。みなさんご存じのβ-カロテンやリコピン、アントシアニンなどもフィトケミカルの一種。フィトケミカルは植物が外敵から自分の細胞を守るために作り出した、色素や香り、辛み、苦みなどの成分です。

 これらは人間の体にも有効で、老化予防、がん予防、免疫力アップなど、さまざまな効果があり、第7の栄養素と呼ばれることもあります。フィトケミカルは植物にしか含まれませんので、野菜や果物をしっかりとることが、活性酸素の害から身を守ることにつながります。

少しずつでもいろいろな食材からとる

 フィトケミカルはおよそ1万種以上あるといわれており、その働きはさまざまです。つまり、1種類の野菜だけ食べるのではなく、たくさんの野菜や果物から、さまざまな種類のフィトケミカルを摂取することが大事です。また、ビタミンCやビタミンEにも強い抗酸化作用がありますので、色とりどりの野菜や果物をまんべんなくとることが、体内の抗酸化力を総合的にアップして、病気知らずの若々しい体作りの近道です。

旬の野菜にはより強い効果が

 またフィトケミカルは旬の野菜ほど多く含まれます。野菜や果物の旬を意識して選ぶことも大切です。そして調理の際はLPSと同様、できるだけ皮ごと食べること、加熱や水にさらすのは短時間にすることも忘れないでください。

抗酸化作用が強い食品

キャベツ・紫キャベツ
キャベツや紫キャベツに含まれるイソチオシアネートは、がん予防効果に注目が集まっている成分。紫キャベツはアントシアニンも含みます。生食ならビタミンCもしっかりとることができます。

パプリカ
β-カロテン、ビタミンC、Eなどの抗酸化成分が豊富なパプリカ。赤パプリカはカプサイシンも含みます。ピーマンよりも苦味が少なく、甘みが強いので、サラダの彩りなどに使いましょう。

玉ねぎ・紫玉ねぎ
フラボノイド、硫化アリルなどの抗酸化成分を多く含みます。辛み成分の硫化アリルは熱に弱いので、生食がおすすめ。水にさらすなら短時間にしましょう。紫玉ねぎの色素成分、アントシアニンにも強い抗酸化力が。

ブロッコリー
イソチオシアネート、ルテイン、クロロフィルなどの複数の抗酸化成分を含む。ビタミンCの調理損失を抑えるためには、ゆでるより電子レンジ加熱がおすすめ。β-カロテンを生かすなら、油と一緒にとりましょう。

じゃがいも
皮ごと調理すれば、クロロゲン酸という抗酸化成分をとることができます。ビタミンCも豊富。じゃがいものビタミンCは加熱してもこわれにくいので、効率的にとることができます。

にんにく
にんにくの香り成分は強い抗酸化作用を持つ硫化アリルです。揮発性の成分なので、刻んだら早めに調理を。硫化アリルはエネルギー代謝に関わるビタミンB1の効果をサポートし、疲労回復にも。

大根
辛み成分のイソチオシアネートに強い抗酸化作用があります。アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼといった酵素を含み、胃腸が弱っているときにおすすめ。皮ごと生食できるサラダ向きの野菜です。

トマト・ミニトマト
トマトの赤い色はリコピンという色素成分によるものです。ビタミンCも多く含み、抗酸化作用は抜群。腸内環境を整える水溶性食物繊維も豊富です。油との組み合わせでリコピンの吸収率がアップします。

なす
なすの皮にナスニンという色素成分が含まれ、コレステロール値を低下させ、血管のトラブルを防ぐ働きがあります。アクの成分は抗酸化作用を持つクロロゲン酸。水にさらすなら短時間にして流出を防ぎましょう。

ブルーベリー
アントシアニンが豊富。目の疲れを改善する働きがあります。同様に抗酸化作用を持つビタミンEや腸内環境を整える食物繊維も含みます。生のものも出まわりますが、冷凍のものが手軽でおすすめ。

柑橘類
オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類は、強い抗酸化作用のあるビタミンCを多く含みます。香り成分のリモネンにもリラックス効果があり、血流をアップする効果が期待できます。

キウイフルーツ
ビタミンC、Eの両方を含み、ダブルの抗酸化作用が期待できます。ゴールド種の方がビタミンCが豊富。食物繊維も含み、腸内環境の改善にも。酸味のもとはクエン酸やリンゴ酸で、疲労回復に役立ちます。

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 医学博士・医師 白澤卓二

 本原稿は、白澤卓二著『認知症専門医が毎日食べている長寿サラダ』からの抜粋です。この本には、脳と体を健康にする「長寿サラダ」のレシピを多数収録しています。一皿で栄養満点のおいしいサラダで脳と体をリセットしてみませんか?(次回へ続く)