この2つの役割は大きく異なり、方法も必要なスキルも異なるので、1人の人間が1日の中で両方をこなすのは難しい。2つを分けることで、それぞれが自分の役割に集中し、生産性を高めることができる。
マーケットレスポンス担当者は早い段階で見込みのないリードをパイプラインから除外することで、アカウントエグゼクティブの成約率を高めることができるし、テレセールス(商談案件になる前のリードが対象)の生産性を高めることができる。
失敗から分業の価値を学んだ
セールスフォース・ドットコム
セールスフォース・ドットコムは、インバウンド対応とアウトバウンドの見込み客開拓を別々のチームで行っていたのに、2004年に1つのチームに統合してしまった。
その結果、わずか1週間で生産性が30%も低下した。3週間後には、統合が低下の原因であり、慣れれば元に戻るというようなものではないことも明らかになった。
慌てて元の分業体制に戻したところ、生産性は元のレベルに戻った。その失敗体験から、役割を特化させることの重要性を痛感したのである。
役割を特化させることが、成果を維持するうえで重要だ。コールドコールを行わない「コールドコール2.0チーム」(セールスフォース・ドットコムでの名称は「エンタープライズ事業チーム」)によって、年間経常収益はわずか数年で約1億ドルに達し、現在では10億ドル以上に達している。このチームでは、1人追加した場合の人件費投資収益率(ROI)は実に約3000%に達している。