株を始めるのはとても簡単。スマホだけで口座開設から注文までできるし、今どきは1株、数百円で買うことも可能です。でも、株で成功するためには、本当に必要な基礎知識だけはきっちりマスターすること!『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門改訂第3版』から、「企業の業績に影響を与えるもの」を一部抜粋・編集してお届けします。
円高になると輸入企業に、円安では輸出企業にメリット
為替や金融政策などは企業の業績にも影響を与えます。
まず、ドル円相場(1ドル=××円で示されるドルの値動き)やユーロ円相場(1ユーロ=××円で示されるユーロの値動き)などの為替相場による影響を考えてみます。ドルやユーロの値段が上がると、その裏返しで円の値段が下がり、円安と呼ばれます。逆に、ドルやユーロの値段が下がると、その裏返しで円の値段が上がり、円高と呼ばれます。
円安になると、日本にとっては、原油や農産物など海外から輸入するものが高くなってしまうというデメリットがあります。エネルギー価格も上がりますし、原材料や商品を輸入して、それらを国内で加工・販売している企業にとっては利益を減らす要因になります。飲食店や小売店などの多くはそれに該当するといえるでしょう。
一方、自動車、電機、鉄鋼など海外で稼いでいる輸出企業にとっては、円安はメリットになります。海外販売で稼いだ外貨の価値が上がりますし、海外企業と競争している場合には値下げする余地が大きくなるので価格競争力が高まるからです。また、輸入品と競争している国内企業にとっては、輸入品の値段が上がるので競争が有利になります。
円高はこの逆に考えればいいでしょう。原材料や商品を仕入れて国内で販売している企業にとっては追い風になりますし、輸出企業にとっては逆風になります。
金融“緩和”は上昇要因、金融“引締”は下落要因
金融政策というのは、世の中に巡るお金の量を調整して、景気に影響を与えようとする政策です。経済に元気がないとお金の量を増やし、逆に過熱気味だとお金の量を減らしてしずめようとします。
お金の量を増やす政策を金融緩和、お金の量を減らす政策を金融引締といいます。水道の蛇口を緩めたり締めたりして、水の量を調整するイメージです。
具体的にどうするのかというと、金利を上げ下げします。金利を下げるのが金融緩和、金利を上げるのが金融引締です。金利を下げればお金が借りやすくなって、住宅購入や設備投資が活発化しますし、金利を上げれば住宅購入や設備投資の活動はしぼみがちになります。
しかし、2022年現在は日本銀行がコントロールしている金利がほぼゼロまで下がってしまっているので、日本銀行が直接お金の供給量を増やしたり減らしたりする政策をとっています。
株価との関係でいえば、金融緩和をすると株価が上がりやすくなり、金融引締をすると株価は下がりやすくなります。とくに、住宅、建設、金融、不動産などの業界は金融政策の影響を受けやすい。金利が下がれば「お金を借りてでも家を買いたい」とか「設備投資したい」という需要が増えますから、住宅や建設の仕事は増えますし不動産市場も活況になります。そして、お金のやり取りが活発化するので金融関係も潤うのです。