コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について、同書から抜粋して公開中。前回の続き、中野晴啓氏と農林中金バリューインベストメンツ常務取締役の奥野一成氏の特別対談のPART2をお届けする。
積立投資は、長続きしやすい
しくみになっている(中野)
農林中金バリューインベストメンツ 常務取締役
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネジャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。
中野晴啓(以下、中野) 結論として誰でもできる投資の方法となると、積立投資がおすすめだと思います。
奥野一成(以下、奥野) そうですね。始めるなら、つみたてNISAと確定拠出年金(iDeCo)で、良いのではないでしょうか。よく「確定拠出年金は60歳まで解約できないからリスクがある」と言う人もいますが、日常に使うお金と別財布にしてくれるメリットを忘れてはいけません。
もっと言うと、買うタイミングを的確に当てられる人なら、就職して働く必要は全くないということです。でも人間は弱い生き物なので、今がチャンスと思って投資をしても、その多くは外れます。長年、株式投資に携わっていますが、タイミングを当てるのは不可能です。
中野 私は「長期・積立・分散投資」一辺倒ですね。それが投資の王道です。資産形成をする場合、それ以外を考える必要は、まったくないと思います。
奥野 私はもう少し緩く考えていて、積立投資をベースにしつつ、少しだけ自身の資産状況に合わせて積み増しするのは、許されると考えています。
中野 おっしゃる通りです。積立投資を自分の生活の中にビルトインして、生活に支障を来さない範囲の楽しみとして追加的な投資をするのは、私も賛成です。
奥野 自分の簿価(購入価格)を忘れることができるのが、積立投資の一番の魅力です。
中野 自分の簿価が分かると、上がれば利益を確定するために売りたくなるし、下がれば気分が落ち込みます。結果、長く投資を続けることができなくなりますから、結果的に積立投資は長続きしやすいしくみです。