保有企業に手触り感を持ってもらうように
説明することが、私の役目(奥野)

「長期・積立・分散投資」こそが、投資の王道だ!【特別対談】PART2中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役会長CEO 一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。 つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言。国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、 個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を9年連続受賞。 口座開設数16万人、預かり資産5000億円を突破。 主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』他多数

中野 運用者として常に心がけていること、矜持のようなものはありますか?

奥野 運用者である以上、リターンを上げるのはもちろん大事なことなのですが、同等に大事なのは、企業と受益者の間に入って、受益者がファンドを通じて保有している企業に手触り感を持てるよう、企業について説明することだと思います。

中野 具体的には、どういうことですか?

奥野 たとえばコロナ禍が広まり始めた時、私たちは米国出張でディズニーを訪問しました。受益者はディズニーランドが閉園されることのリスクを心配していましたが、その訪問でディズニーの強さはディズニーランドだけにあるのではないことを再確認して、それを受益者に伝えました。この手触り感があるからこそ、受益者は長期投資ができると思います。

 逆にリターンだけで選ばれたファンドは、リターンが低下すれば受益者が離れるリスクがあります。

中野 資産運用という仕事の本質を突いていますね。あえてそれに加えるとしたら、私は規律を挙げます。投資した前提が変わったのなら手放す。その判断に私情を挟まない。それこそがプロの運用者だと思います。

おわり