セロトニンは精神を落ち着かせて安定させる脳内物質です。セロトニンが少ないと、うつ病になりやすくなることがよく知られていますが、この脳内物質は「ストレスにどれだけ耐えられるか」「怒りや不安などの感情をどれだけ抑えられるか」といった問題にも深く関係しているのです。

このセロトニンは、「セロトニン・トランスポーター」というたんぱく質によって運ばれています。ただ、セロトニン・トランスポーターには3つの遺伝子型があり、どのタイプの型を持っているかで運べるセロトニンの量が決まってくるのです。

その遺伝子型は、簡単に言えば「セロトニンをたくさん運べる大バケツタイプ」「平均的なセロトニン量を運ぶ普通バケツタイプ」「セロトニンを少ししか運べない小バケツタイプ」の3つ。すなわち、運べる量が多いタイプはキャパシティーが大きくてストレスに強く、運べる量が少ないタイプはキャパシティーが小さくてストレスに弱いので、より感情をあふれさせやすいということになります。

ちなみに、日本人には「小バケツタイプ」が多いとされています。ちょっとしたことでイライラしたりクヨクヨしたり、ささいなことですぐカーッとなったりするのは、ストレス耐性が弱く、感情があふれやすいバケツを遺伝的に受け継いだ影響もあるのかもしれません。

怒りっぽい人は環境がつくる

ただし、こうした遺伝素因だけですべてが決まるわけではありません。

怒りっぽいかどうかに関しては、遺伝だけでなく、生まれ育った生活環境も大きく影響しています。

たとえば、子どもの頃の家庭環境。幼少時代に親から暴力を受けて育った人は、大人になってから自身も暴力を振るう傾向があります。また、職場や家庭で自分の境遇に不遇感や不満感を抱えている人は、「どうして自分ばかりこんな目に遭うんだ」といった思いをふくらませやすくなりますし、社会生活で疎外感を感じている人は「どうして自分はのけ者にされるんだ」といった思いをつのらせやすく、世間や社会に対して不満や怒りを抱えるようになる傾向があります。

それに、経済面の影響も無視できません。近年はじわじわと経済格差が広がってきていて、経済的に苦境に立たされる人が増えています。そういう人々の中には、やり場のない怒りや不満を抱えている人も多いでしょう。

このように、怒りっぽさには、その人がどんな環境で生まれ育ったか、その人がどんな環境で生活を続けてきたかも大きく影響することになります。

こんな食生活で人は怒りっぽくなる

さらに、食生活の影響も見逃せません。