大手塾で算数講師の経験を積んだ後、算数専門のプロ家庭教師として約20年間、2000人以上のお子さんを指導してきた中学受験専門のカリスマ家庭教師・安浪京子先生は、その経験から「ノートをひと目見ると、その子の学力がわかる」と言います。また教科によって勉強法が違うように、効果的なノートの使い方も違います。
本連載では、カリスマ講師たちが指導の中で必ず教えるノート術を初公開した話題の書籍『中学受験必勝ノート術』の中から、一部を抜粋し、ご紹介していきます。今回は本書の社会のパートを担当した馬屋原吉博先生による「社会のノート術」をご紹介します。(初出:2022年6月24日)

【中学受験】教科によってノートの効果的な使い方は違う【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

社会は「まとめノート」は必須ではない

 算数は、アウトプットの基本としてノートにきちんと書くことが大事であることは、これまでもお伝えしてきた通りです。では、社会などの暗記科目はどうでしょうか? 一般的には、社会の勉強法というと「インプット」が重視される傾向にあります。とにかく知識を覚えなくてはいけない。だからノートにまとめる。そう考えている親御さんや子どもたちが多いのではないでしょうか。

 ところが、実はインプットするための「まとめノート」は、必須ではありません。費用対効果、時間対効果のコストパフォーマンスを考えると、必ずしも最上位にくる勉強法ではないのです。

 なぜなら、大手塾のテキストや問題集は、すでにしっかりまとまっており、それを使うほうが圧倒的に効率がいいからです。

まとめたほうが覚えやすい分野もある

 じゃあ、本当に自分では全くまとめなくていいのか? テキストを眺めているだけで覚えられるのか? ……と不安に思う方もいるでしょう。

 たしかに、手を動かしながら、自分で情報を咀嚼したほうが覚えやすい分野もいくつかあります。

 そこで本書では、「敢えて社会でまとめノートを作るとしたら、どんなことをまとめたらいいのか」という説明をしています。

得点力に直結するのは「テスト直しノート」を作ること

 社会におけるノートの活用法として実は最も有効なのが「テスト直しノート」を作ることです。これは、インプットしたことをアウトプットする練習になります。

 当然ながら、いくら知識があっても、入試本番で正しい答えを書けなければ点はもらえません。したがって、不正解になったとき、「何を覚えていてどう使えば正解できたのか」を考えて、それを書き留めておくことが非常に大切です。

 毎日の宿題や問題集を解く演習ノートにおいてもそれは同様です。小テスト、模試、過去問などでは「テスト直しノート」を蓄積し、正しくアウトプットする練習を積む。それが、合否をわけるのです。

「テスト直しノート」を使って、直しのスキルが身に付くと、大学受験まで活用できます。もっと言えば、間違いを正解に軌道修正していく力は、人生においても役立ちます。これは、中学受験をした子どもたちの特典であり、大きな財産になります。

*本記事は、「中学受験必勝ノート術」からの抜粋です。

「中学受験必勝ノート術」社会担当 馬屋原吉博先生 

中学受験専門の個別指導教室SS-1副代表
大学・高校受験の指導経験を積み、現在では中学受験の指導に専念。10年続けてきた保護者同席型集団授業「最速社会」は2020年よりオンライン化。バラバラだった知識同士がつながりを持ち始め、みるみる立体的になっていく授業は、全国の受験生はもちろん保護者にも好評。「頭がよくなる謎解きドリル」「今さら聞けない!政治のキホンが2時間で全部頭に入る」など、著書多数。「中学受験必勝ノート術」では社会のパートを担当。