優れたリーダーはどのように考え、行動しているのか?
リーダーにとって必要な資質や能力を高める、100の習慣を大公開!
本連載の著者はこれまでに国連や世界銀行グループ、政府、学校など様々な組織のリーダーへ、コーチングをおこなってきた、英国の超一流コーチ、ナイジェル・カンバーランド氏。
その経験から導き出した、リーダーとしての成功に近づくために欠かせない考え方や習慣、スキル、人間関係、行動をまとめたのが『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』です。本書の刊行を記念し、その内容の一部を特別公開します。
では、さっそく、よりよいリーダーになるための一歩を踏み出しましょう。

ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣Photo: Adobe Stock

成功するリーダーは部下に花を持たせ、
成功しないリーダーは部下の成功を自分の手柄にする

 どれだけ成功していても、それを声高に自慢すべきではありません。誰も、あなたの自慢気な態度や武勇伝に感銘を受けたりはしません。「この人は、いつも自慢ばかりしているうっとうしい人だ」と見なされるだけです。

 それでも、自らの成功を周りに誇示したいと考えるリーダーは少なくありません。リーダーになりたがる人はもともと野心的で前に出るタイプの人が少なくないですし、「常に自分が正しい」という感覚を持ち、グループの中心にいるのが当たり前になっていることも多いからです。

 私のコーチングの経験からも、リーダーは概して脚光を浴びるのが好きで、「おとなしく謙虚でいると損をする」と考えている節があります。特に男性のリーダーは、女性に比べて目立ちたがり屋である傾向が強いようです。これには、「女性は男性よりも控えめでいるべきだ」と考える人がいることも影響しています。男性が自信満々だと自信の表れだと見なされるのに、女性が同じように自信満々だと傲慢だと見なす人もいます。私たちはこうした偏見を取り除いていかなければなりません。

 優れたリーダーは次のように、様々な経験を通じて「自慢げな態度は長い目で見てメリットをもたらさない」ことを学んでいます。

・成功は一過性であり、よいときがあったかと思えば、すぐに悪いときがくるものだ
・周りから称賛してほしいと思うのは、不安や自信のなさ、愚かさの表れである
・自慢ばかりしていると人が離れていく

「自信を見せるべきとき」と「謙虚になるべきとき」の理想的なバランスを見つけましょう。またリーダーとして、チームが成功したときには最良の方法でそれを全員で分かち合えるようにします

「無自覚な自慢」に気をつける

 自分の日頃の言動をよく観察してみましょう。無意識のうちに自慢話をしていたり、自信満々な態度をとっていたりしませんか?「黙って控えめにしていては損だ。もっと自分をアピールしなければいけない」と常に心のなかで思っていないでしょうか。このような思いは、強気で自信過剰な態度につながることがあります。

 謙虚でいるべきとき、自信を持つべきとき、チームのよさをアピールすべきときなどを、状況に応じてうまく判断できるようになりましょう。

 あなたやチームがした仕事自体がその素晴らしさを物語っていて、達成したことを周りからすでに認められている場合や、達成したことがとりわけすごいものでないときは謙虚でいましょう。

自信を示したり、アピールしたりすべきときとは?

自信を示すべきとき
 基本的には常に自信を持って行動すべきですが、傲慢にならないようにします。自分の間違いや無知に気づいたらすぐにそれを認めましょう。

自分の成功をアピールするとき
 何度も同じ話をするのは避け、控えめな方法でアピールします。自慢するより、周りから褒められるほうがはるかによいです。だから基本的には黙っているべきです。

チームの成功をアピールするとき
 チームに脚光を当て、メンバーの意欲を高めるために、チームのよさは積極的に周りへアピールしよう。ただし、それがリーダーとしての自慢に聞こえないように気をつけましょう。

(本稿は、ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳『ありのままの自分で人がついてくる リーダーの習慣』を抜粋、再構成したものです)

ナイジェル・カンバーランド(Nigel Cumberland)
作家、リーダーシップ・コーチ
1967年、イギリスのヨーク生まれ。ケンブリッジ大学卒業。世界最大級の人材サービス会社Adeccoや世界3大ミシン糸メーカーCoats plcで財務部長を務めた。シルクロード・パートナーシップの共同創立者。ロンドンとドバイを拠点に、同社を通じて企業幹部を対象にリーダーシップ・コーチングやメンターリングをおこなう。ハーバード大学メディカル・スクール付属コーチング養成機関の創立研究員でもある。これまで香港・ドバイ・ブダペスト・サンチアゴ・上海・ドバイで暮らし働いた経験から人生で成功するヒントを得た。これまでに出版した8冊の著書は、ドイツ・中国・ポルトガル・スペイン・ロシア・チェコ・スロバキア・ルーマニア・ドバイをはじめとする中東諸国・ブラジルなどの各国で翻訳されている。著書に、シリーズ10万部突破の『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともに児島修訳、ダイヤモンド社)などがある。
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者
1970年生。立命館大学文学部卒(心理学専攻)。訳書に『成功者がしている100の習慣』『お金持ちがしている100の習慣』(ともにナイジェル・カンバーランド著)、『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(モーガン・ハウセル著)、『DIEWITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)(いずれもダイヤモンド社)など。