生きていれば、不安や悩みは尽きない。寝る前に考え込んでしまって、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【Twitterフォロワー30万人超の精神科医が教える】<br />当たり前のように存在していた人を失い<br />「喪失感」にかられたときの“心の処方箋”

「喪失感」にどう向き合ったらいいのか?

突如として発生した安倍晋三元首相の痛ましい事件によって、喪失感にかられている人は少なくないと思います。そもそも喪失感というのは、大切な人や物を失ったときの、空虚な気持ちや悲しみのことです。では、この喪失感には、どう向き合ったらいいのでしょうか?

アテクシも大切な父親やパートナーを亡くしたとき、深い悲しみとともに喪失感にかられました。つらい気持ちを抱えている人の心の状態を診断して治療する精神科医といえども、そう簡単に喪失感は癒えるものではありません

だから、喪失感を無理やり断ち切ろうとするのではなく、大前提として「喪失感とつき合っていく」というくらいの気持ちでいたほうがいいです。「自分自身の喪失感を見守っていく」ともいえます。

心の穴を慌てて埋めようとしないこと

心のつらさから早く解放されたいと思いますが、この機会に関連する本を読んだりしてもいいでしょう。手前味噌ですが、アテクシの著作である1秒シリーズには、心のつらさへのアドバイスがたくさん載っていますから、参考にしていただければと思います。

自分の心にぽっかりと空いた穴を慌てて埋めようとしなくてもいいです。その心の穴を含めて、いまのアナタ自身なんです。しばらくたって心の穴が埋まったかと思うと、またぽっかりと空く。そんなこともあるでしょう。

喪失感を解消することに執着してしまうと、悪循環が生じて、そのことばかりが頭をよぎるようなことにもなりかねません。そのたびに心が落ち込むことになるでしょう。とにかく、時の流れに身を任せることです。

他のことに集中する機会をつくってみる

なにもやる気がでなければ、その気持ちにあらがうことなく、ボーッとしていてもいいですし、ほかにやるべきことや楽しめることがあれば、そのことに打ち込んで、なるべく喪失感について考えないようにしてみることも大切です。人はなにかに集中すると、それ以外のことを考えにくくなるので、とても効果的です。

もし、アナタが信頼する人、理解者のような人がいれば、その人に心の内を打ち明けてみるのもいいでしょう。そうした人と時間を共有するだけでも、心が癒やされます。そうこうしているうちに、だんだんと空虚な気持ちや悲しみは癒えてきますが、完全に消そうとは思わないことです。どういうふうに喪失感が自分のなかに混ざり込んでいくかは、人それぞれだし、未知数なことです。

あくまで「喪失感とつき合っていく」というスタンスでいましょう。そうしたほうが自然ですし、慌てることなく心が穏やかになっていくでしょう。

『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)には、不安や悩みを解消するヒントが満載です。