相場が動き出した瞬間に、勝ち馬に乗る
しかし、チャートをよく見ていると、それまで売りと買いのバランスが保たれていた状況から、どちらかに大きく動き出す瞬間があるんです。
合戦で言えば、一方の軍勢が後ろに引いて、逃げ出し始めるような瞬間。そのとき有利な陣営はどんどん追いかけていくわけですが、株の売買でも、その瞬間をいち早く捉えて、どんどん追いかけていくことが重要です。
実際の合戦では、自分はどちらかの陣営に属しているわけですが、株式投資ではいつでも陣営を乗り換えることができます。戦局が拮抗しているときは、じっと待って、大きく動き始めたときは、その流れにいち早く乗って、追いかけていく。それが一番大事ですね。
機関投資家をはじめ、多くの投資家が買いにまわって株が上昇している時は、自分も買いにまわる。反対の状況で、株が下落している時は、自分も売りにまわる。
そうした戦局の動きを私はチャートで見ているんです。決して予想ではありません。変化の兆しを捉えて、いち早く行動しているだけ。それこそが「運」ではなく「実力」だと私は考えています。
――そんなふうに説明されると、本当に合戦と株式投資は似ていますね。とてもおもしろいです。
窪田:そうなんですよ。株式投資でも、チャートの変化を捉えて「これはどちらかに動きそうだな」と感じたときに、いち早く売ったり、買ったりするんです。それが一番おもしろいポイントですね。
合戦で言うなら、たとえば、ほとんどわからないような緩やかな傾斜があってA軍が傾斜の上、B軍が傾斜の下で戦っているとします。これが1対1の対決なら、正直、どちらが勝つかまったくわかりません。
しかし、これが100対100、1万対1万の戦いになると、傾斜の上で戦っている軍が勝つ確率は非常に高くなります。ほとんどわからないような傾斜でも、そのくらいの軍勢になると、有利不利が戦局に反映されてくるんです。
そうしたちょっとした傾斜を見つけて、株の売買をしていくのは本当におもしろい瞬間です。売買高の変化とか、ボリンジャーバンドなどを見ていると、その緩やかな傾斜はたしかに出ているんです。
よく「株の売り時、買い時」について聞かれるのですが、考え方の前提は「風林火山」だと思います。
売りと買いが拮抗しているときには、次の展開を予測して売買するのではなく、じっとして動かない。何かしらの変化の兆しを捉えたら、いち早く動く。それがすべてだと私は思います。