株式投資はギャンブルなのか?
――投資に興味がある人のなかにも「投資はギャンブルだから、怖い」という人もけっこういると思います。「投資はギャンブル」という言葉について、窪田さんはどんなふうに捉えていますか。
窪田:何の知識も理論もなく、ただお祈りしながら売買していたら、それは純粋なギャンブルだと思います。ですが、きちんとチャートを観察して、勝てるパターンで売買していくのは、私はギャンブルだとは思っていません。
また、現金を持っていること自体、ギャンブルと言えばギャンブルですからね。日本円を持っている人は、日本はここ何十年も大きなインフレを経験していないので、一応ギャンブルに勝ち続けている状況なわけです。
しかし、10%のインフレになれば、今まで100円で買えていたものが110円になる。つまり、自分が持っている現金という資産の価値が、約90%に減少しているのです。
一方で、インフレのときは株や金(きん)は上がる傾向にあるため、現金だけを持っているより、他の金融資産を持っている方が相対的には安全とも言えます。
そう考えると、何を持っていたってギャンブルです。
もっと言えば、人生は誰もがいろんなギャンブルをやっていると言えるのではないでしょうか。「どの会社で働くのか」もギャンブルだし、「どこに住むか」もギャンブルかもしれません。株式投資もそのひとつですね。
問題は、自分がギャンブルをやるときに知識や準備もなくやってしまうこと。「なんとか、うまくいってください。お願いします!」とお祈りしながらやるギャンブルはやっぱりよくないと思いますよ。
リスクをコントロールすることが重要
――なるほど、その視点はおもしろいですね。キャッシュを持っているのもギャンブル。言われてみれば、その通りです。
窪田:価格というのはすべて相対価値なんです。だから、株が暴落するのは、言い方を変えるとキャッシュが暴騰している状態です。反対に株が暴騰すれば、キャッシュが暴落している状態です。
世の中には「債券を持っていれば安全」という人もけっこういますよね。でも、リーマンショックが起こる前、リーマンブラザースが日本で発行していた「サムライ債」に退職金を全部突っ込んで、たいへんな思いをした人もいました。債券にだって当然リスクはあるわけです。それは国債だって同じです。
つまり、どんなものにもリスクはあるんですが、自分なりにリスクをコントロールすることが大切だと私は考えます。
株を持つにしたって「100万円持つなんて怖くてできない」という人は、10万円にすればいいし、それでも怖い人は1万円にすればいい。誰にでも「自分にとって怖くない金額」はあるはずです。そうやって、自分なりにリスクをコントロールすればいいんだと思います。
これからの時代は間接金融より直接金融が特に重要になってくることはあきらかです。かつては銀行にお金を預けて、銀行が企業に貸す間接金融の時代でした。銀行にお金を預けても金利が3%とか、4%とかありましたから。
でも、銀行預金の金利がゼロに近くなってしまって、リターンを取ろうと思ったら直接金融をしなければいけない。もちろん、直接金融の場合は価格が上がったり、下がったりするので、そのリスクを自分なりコントロールしながらやっていく。そういう意識が大切だと私は思っています。
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