3メガバンク最終決戦#9写真:西村尚己/アフロ

3メガバンクグループはどこも商業銀行を中核として、信託銀行や証券会社などを抱える金融コングロマリットだ。ただし、この15年の施策の違いにより、今後戦略の方向性には差が出てきそうだ。現時点では連結純利益1兆円を稼ぐ三菱UFJフィナンシャル・グループが強さを見せつけるが、3メガグループの攻防戦はいかに。特集『3メガバンク最終決戦!』(全9回)の最終回では、それぞれが“近未来”に取り得る一手を予測する。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

個人向けビジネスを潤す
「決済データ」という宝の山

 最近、メガバンクグループの幹部らが、固唾をのんで見守っていることがある。三井住友フィナンシャルグループ(FG)が描く一大リテール戦略の成否だ。

 三井住友FGは今、個人向けの「三井住友FG大経済圏」の確立に向けた、スーパーアプリの開発の“最終段階”にある。それが、SBIホールディングス(HD)への出資によるオンライン証券の取り込みでいよいよ確実視され、ライバル行が“警戒”を強めているのだ(詳しくは本特集#5『三井住友FGがSBIに出資を決断した理由、SBIのメインバンクはみずほなのになぜ?』参照)。

 個人向けビジネスはもうからない――。銀行業界には一昔前まで、そんな通念があった。個人向けビジネスは手間がかかる割に、案件一つずつが少額。少子高齢化により、マーケットの縮小も免れない。

 しかし、デジタル化の進展によって、「新時代の稼ぎ方」が浮上しつつある。テクノロジーの力で「手間」の軽減が可能になったのはもちろん、ビジネス拡大の追い風になること間違いなしの「データ」を獲得できるようになったからだ。ずばり、キャッシュレス決済を通した「個人の金の使い道」に関するデータである。

「あれは、三井住友FGだからできることだ」。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)やみずほフィナンシャルグループ(FG)の幹部がそう声を絞り出すように、キャッシュレス決済を軸にした個人向けビジネスの展開に気を吐いているのは、今のところ三井住友FGだけだ。

 その背景には、これまでの3メガバンクグループの戦略の違いがある。次ページでは、それらについてあらためて整理するとともに、3メガグループそれぞれが“近未来”に取り得る一手を予測する。