「新宗教」大解剖#13

安倍晋三元首相の銃撃事件を発端として、宗教と「政治・カネ」への関心が大きく高まっている。しかし、宗教への無理解が誤解を生む側面も無視できない。そこで、経済メディアならではの視点で新宗教を切り取った週刊ダイヤモンドの特集を再掲し、特集『「新宗教」大解剖』としてお届けする。特集の最終回では、現代における新宗教の浮沈を巡るトレンドの解釈について考えたい。そして、危うい宗教団体が付け込む隙をうかがっている「新市場」の闇にも触れる。

「週刊ダイヤモンド」2018年10月13日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

創価学会や立正佼成会があえぎ
真如苑が伸びる新宗教の浮沈

 創価学会や立正佼成会など組織力、結束力を持つ巨大教団があえぐ一方、個々人の自己啓発に相似したシステムとスピリチュアルを売りにした真如苑のような教団が伸びる――。この現代における新宗教の浮沈をどう解釈すればよいのだろうか。

 そのヒントは、特集#11『幸福の科学を「2つの挑戦の大誤算」が直撃、修正迫られる政治・経済戦略』で見た「あの世」や「奇跡」の存在を信じる人が増加しているという調査に隠れている。さらに下図の「宗教を持っている・信じている人」(統計数理研究所調査)の割合からもその理由が見えてくる。

 宗教を持っている人は、その世相により上下しながらも減少トレンド。つまり、先述の調査と合わせれば「宗教は持っていないが、スピリチュアルなものは信じる」という人が増えているわけだ。

 なお、同研究所調査でも「あの世」を信じる人の割合について、1958年、2008年、13年に調べている。60年前は20%だった信じる人の割合は、08年に38%、13年には2倍の40%だ。しかも、この傾向は20~30代の若年層ほど強い。この無宗教者とスピリチュアルな存在を求める心の反比例に、“ブルーオーシャン”的市場性を見いだすのは何も真如苑や幸福の科学だけではない。危うい宗教団体も付け込む隙をうかがっている。