こうした葛藤が生じやすいのが、職場での会議やプレゼンなどの場です。
傷つきやすい人は、目の前の人や周囲に対して共感力が高いため、その場では自分の考えよりも相手の気持ちに飲まれがち。自分の考えや、本当はどうしたいかが飛んでしまい、皆に同調してしまいます。
ミーティングが終わると、「ああ、皆とは違う意見があったのに発言できなかった」「疑問もあったのに質問できなかった」という思いが後からこみ上げてきます。そして、なぜ自分はいつも反論できずに終わるのだろうか……という自己嫌悪に陥り、自信を喪失していくのです。
会議の場でギャップを生じさせたくないという恐れの気持ちと、自分の考えをきちんと発言したいという気持ちのはざまで苦しみながら、いつでも八方美人な態度をとってしまう自分を責め続け、このままではダメだと自分を追い込むことを繰り返していきます。
それはやがて、「自分は、この仕事には向いていないのでは?」とまで思い詰めてしまうに至ることも少なくありません。場合によっては、それが高じて退職してしまうケースもあるほどです。
いつも皆に好かれる必要はありません
「皆と同調しなければ」という呪縛と、「自分には違う意見がある」という思いのはざまで苦しくなったら、後からでいいので、自分の本当の意見を一度は周りに伝えてみてください。ぜひ、練習のつもりでトライしてみましょう。
それを言った結果どうなるか、よりも「後からでも自分の考えをちゃんと言えた」という体験をすることに焦点を絞ってください。「意見を言えない、ダメな私」という思いを止められば十分です。
例えば、依頼できる上司や同僚に「会議では言えなかったのですが、実はこういうふうにも考えたんです。どう思いますか?」と、さりげなく打ち明ける感じです。メールでもいいと思います。
そういう機会を自分から作ろうとすると、それも1つのプレッシャーになってしまうので、たまたま顔を合わせる機会や、数日後に控えた小規模なミーティングや上司との面談、上司の出社日などといった機会を利用してみるといいでしょう。
自分の意見が採用されるかどうかの結果はともかく、まずは「自分の意見を言っても大丈夫なんだ」という体験をすることが大切です。そういう小さな成功体験を積み重ねていきましょう。
慣れてくると、普段から自分の意見を意識できるようになり、後から悔やむことが減ってきます。
たとえ、会議で自分の意見を言って反論されても大丈夫。そもそも会議というのは、反論が出ることを前提にして行われるのですから、反対意見が出ることを一人で恐れる必要はありません。
皆と同じでなくてもいいのです。
いつも皆に好かれていなくてもいいのです。
会議で反対意見を述べても、意見が採用されなくても、それだけで居場所がなくなることはありません。