20年の受理数は765万4794件で「コロナ相談窓口はどこ?」「スーパーでマスクをしていない客がいた」「子どもの学校が休校だけど、食事をどうすればいいの?」など、コロナ禍に関連する通報が多かったようだ。

 また19年は829万9775件。「家のゴキブリをどうにかして」「子どもが言うことを聞かないので叱ってほしい」など、あまりに非常識な通報も珍しくない。警察庁は緊急事態の対応に支障が出るとして、不急の相談窓口に「♯9110」を推進している。

 このほかにも今年2月、宮城県の中学校教師(当時51)が110番に400回以上無言電話を繰り返したとして、業務妨害容疑で逮捕された。21年5月には愛知県の会社員(当時)が無言電話のほか「いつまでも繰り返すよ、俺」「110番に対応する警官はくず」などと1年間に約3800回の110番をしたとして偽計業務妨害容疑で逮捕された。

 また21年2月には福岡県警が酒に酔って「爆弾を持っていく」などと繰り返し110番したとして作業員の男(当時59)を業務妨害容疑で、18年7月には9時間の間に1000回を超える無言電話や「何が110番だ。ばかやろう」などと通信指令担当の警察官の業務を妨害したとして、トラック運転手(当時49歳)が逮捕されている。

 さかのぼって過去の事件を調べると、ほとんど50~60代前後の男が、酒に酔った深夜に必要のない110番をして通信指令業務を邪魔していることが浮き彫りになる。おそらく、寂しい人たちなのだろう。

通信指令室の張り詰めた空気に
ビビった新人記者時代

 通信指令といえば、筆者は貴重な経験をしたことがある。新人記者として地方の県庁所在地に配属され、警察担当となった。しかし、県内版を埋めるイベントなどを取材してデスクに原稿を送れば、それ以外には、よほどの事件がなければやることがない。のどかな田舎だったのだ。

 見かねた広報室長(警視)が各課に声掛けしてくれて、見学する機会を作ってくれた。現在はありえないが、生活保安課(現在は銃器薬物対策課)では、押収した拳銃を手に取らせてくれたりもした。そして、通信指令室にお邪魔していたとき、偶然、銀行強盗の110番が入った。