「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が教える】あの人なんていう名前だったっけ…空き時間の5分、10分の積み重ねで衰えた脳を鍛えるカンタン&お手軽メソッドPhoto: Adobe Stock

好きな本を読んで脳の血流をアップ

【前回】からの続き 私自身が実践している「頭の体操」は、なんといっても読書です。パズルやクイズはどうも好きになれませんが、読書は子どもの頃から大好きなのです。この先に何が書いてあるのかとワクワクしながら本のページをめくり、内容を理解しようとしているうちに、脳はフル回転して血流が増えてきます

私はいまも毎日、読書を欠かしません。読書のジャンルは職業柄、医学書が多いです。医学の世界は日進月歩ですから、勉強しておかないと、現役医師としてとり残されてしまいます。専門性の高いものは読むのに骨が折れますから、入門書的なものを選んで読むようにしています。

とくに読書をする時間を決めているわけではなく、日常のすき間時間も、私の読書タイムとなっています。1回に5分、10分程度のことが多いです。それを1日に何回か繰り返していると、日々トータルで1時間ほどの読書をしている計算になるでしょうか。

同じ本を繰り返し読むのもいい

91歳にもなると若い頃に比べて、どうしても記憶力は落ちますから、最近は一度読んだくらいでは本の内容が頭に入ってこなくなりました。ですから、記憶を定着させるために、大切なところに付箋(ふせん)を貼ったり、蛍光マーカーで線を引いたりしながら、同じ本を何回か繰り返し読むことが多くなりました。

誰かと速読の競争をしているわけではありませんから、本はじっくり時間をかけて何回読んでも構わないと思っています。脳トレのために読むのは、漫画でも、スポーツ新聞でも、趣味の雑誌でも、自分が興味のあるものなら、なんでもいいと思います。

近所にある公共図書館を利用するのもいいでしょう。幅広いジャンルの本がそろっていますし、新聞だって雑誌だって閲覧できますから、誰でも気軽に読書ができるはずです。図書館まで歩いていけば、それ自体も下半身を動かすことによる脳の血流促進になります。

興味・関心を失うことにご用心

私は昔かたぎなので本は紙で読んでいますが、電子書籍でも脳の血流を増やす作用は変わりません。電子書籍はスマホやタブレットなどでも読めるので、紙の本よりさらに手軽に感じる人もいるでしょう。

昔は本の虫だったのに、久しぶりに読書と向き合おうと思ったら、読みたい本がなくなっていた……。そんな人は要注意です。興味や関心が失われてしまうのは、認知機能が衰えてきたサインかもしれないのです。

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。