答えのない時代に、メモが最強の武器になるーー。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスパーソンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この連載では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、実際に集めたメモをベースに、あらゆる問題解決に効くメモ術を紹介していく。
思考を広げるメモのコツ
アイデアを出そうと思ってノートを開いても、何を書いていいのかわからず手が止まるという人もいるのではないでしょうか。
そんな人におすすめのメモのテクニックをご紹介しましょう。やり方は超シンプル。思いつくものを10コ以上書き出して、その中から3コを選ぶという方法です。
常に10コ以上メモしてみようとする。それまでは選ばないのがミソ。10コ以上メモしたら、大切そうだなと思うものを3コ選ぶ。それを繰り返します。
大抵の人はメモを書きながら、「やっぱり違うかな、もっといい視点がないかな」と、書き出す作業と選ぶ作業を同時にします。だから思考が先に進まないのです。
まずは思いつくものを10コ書く
1つ事例を交えてご説明しましょう。
私はこの方法を、悩んでいる同僚や部下のアドバイスにも使っています。ある日30代のあるコクヨ社員から、
「ミスが多い後輩Aさんと、どう協力して仕事を進めればいいのかを悩んでいる」
という相談を受けました。
「Aさんに仕事を任せればミスをするし、細かく指示をすれば嫌がられるし」
という話でした。
そこで、
「まず頭で悶々と考えずに、頭の中にある課題をとりあえず10コ以上書いてみて」
と伝えました。そうするとはじめは「ウ~ン」と考えつつも、一度ペンが動きはじめるとドンドン書き出し、5分もすると次のように10コ書いてくれました。
次に大切と思うものを3つ選ぶ
次に、
「じゃあ、その10コの中から優先順位をつけて大事なもの3コに丸をしてみて」
と伝えました。
「これとこれは違うなあ、この2つはほぼ同じことだけど、こちらがしっくり来るなあ」
などとブツブツ言いながら次の3コを選んでくれました。
その時点で結構スッキリした表情をして、
「いろいろ課題がありますが、まずは後輩と、報連相のしかたを話し合ってみます」
と自分で答えを見つけました。
つまり課題を出していたら、解決のアイデアもわかったということです。
人はどうしても、考えを出すことと、選ぶことを同時にしてしまいがちです。なので、「10コ書いて3コ選ぶ」というやり方をすれば、迷わず自分の考えが前に進んでいくでしょう。
『考える人のメモの技術』では、今日から使えるメモの技術をたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
(本原稿は、下地寛也著『考える人のメモの技術』から一部抜粋・改変したものです)