答えのない時代に、メモが最強の武器になるーー。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスパーソンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この連載では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、実際に集めたメモをベースに、あらゆる問題解決に効くメモ術を紹介していく。
「常識」ってなんだろう
何かを発想する上で難しいこと。それは自分が常識にとらわれてしまい、限定した範囲の中で思考していることに気づかないことでしょう。
ところが、アイデアの種はその常識を超えたところにあるものです。
たとえばコクヨの【カドケシ】はプロダクトデザイナーの神原秀夫氏が発案したカドが28コある消しゴムです。これは「消しゴムはカドが消しやすいけど、カドは8つしかない」という常識を超えて生まれたアイデアです。
そうは言っても、常識を疑うのは難しい。常識を疑うためには、そもそも常識とは何かを認識する必要があります。
常識を認識する2つのステップ
常識に気づくのは難しいですが、次の方法を試してみてください。
まずは考えるべき対象物の特徴や使い方を拾い上げ、次に、だから◯◯が当たり前だよねという順番で考えてみます。
(1) 特徴・使い方
(2) 当たり前
という2ステップを踏むことで常識に気づきやすくなります。
もちろん、全ての常識に対してアイデアが出るわけではありません。でも常識を打ち破るための思考の起点となることは間違いないでしょう。
「ノート」を例にしてこの2ステップで常識を考えると、次のようなことが書き出せると思います。
いきなりノートの常識を出せと言われると難しいかもしれません。まず特徴・使い方を書き出し、何が当たり前かを拾い出すと、考えやすくなるでしょう。
「当たり前だからしかたない」と思うところにアイデアの種がある
出てきたメモを眺めても「まあ、当たり前だよね」と思うかもしれませんが、「当たり前だからしかたない」と思うとアイデアは出てきません。
ちなみにこの「ノートの常識って何?」を解消するアイデアのノートは、すべてコクヨで販売されています。
皆さんも考えているテーマに関して「常識って何?」と自らに問いかけてください。そして思いつくことを書き出してから、アイデアを出してみてはいかがでしょうか。
思わず「あるある!」と思うような常識が出てきたら、それは誰も気づいていない隠れたニーズかもしれません。
(本原稿は、下地寛也著『考える人のメモの技術』から一部抜粋・改変したものです)