不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】<br />年をとるほどやってしまいがち…<br />無意識に“人間関係の幅”を狭めてしまう愚行

大人ってなんだろう?

「あの人は、大人だよね」なんてことを雑談で言ったりしますよね? そのときの“大人の定義”ってなんでしょうか。

落ち着いているとか、人の話をよく聞くとか、誰に対しても丁寧に接するとか、いろいろ考えられると思うのですが、アテクシは「自分とは違う価値観の人とも上手につき合える」というのが大人なんだと思います。逆に言うと、自分と価値観が違う人とはつき合えないから拒絶しちゃうというのは、子どもだなって思うんです。

無意識に人間関係の幅が狭まる

大人だなって思う人は、価値観が違う人とでも、「まあこの人は、こういう人だよね」みたいに許容したうえで、ケンカにならない程度のつき合い方をしているんですね。

自分とは相容れないところがある人だとわかったうえで、それでも相手のいいところを見出せる。そういうことができずに、自分と相容れない人を断絶してしまうと、結果として人間関係の幅が狭くなるんです。年齢を重ねるとともに、性格的に頑固になりがちですし、人間としての成長がとまってしまう要因にもなるんですね。

楽しく生きるためにも必要なこと

ちょっと矛盾するようですが、「成長なんかしなくてもいいや」と常日頃からアテクシは思っているんですけど、そうはいっても人生を楽にするための成長っていうのは大事です。

自分が楽になるということは、周りの人も自分と一緒にいると楽に思ってくれるということにも通じます。そういう意味では、自分の器(うつわ)を広げるためにも、違う価値観の人とも上手にやっていくことは大事なんですね。

不毛な争いを避けるために

そういう意識が自分のなかに生まれると、世渡りの器用さにもつがってきます。世渡りの器用さなんていうと、なんだかイヤらしい感じに聞こえるかもしれませんが、八方美人になれとか、ずる賢く立ち回れとか、そういうことではないんです。

価値観が合わなそうな人だとわかったうえで上手にやり取りするということは、不毛なぶつかり合いで消耗することを避けられるということでもあります。心身を疲弊させるだけで、いい結果をともなわない争い事を未然に防止しながら、自分の器を広げられるようになるんですね。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。