自分の好きなことより他人の意見に従ってしまう、選択と決断が苦手、決めてから後悔しがち……。そんな人におすすめなのが、2022年10月26日に発売の『私はすべて自分で決める。』(チェ・フン著 李明華訳)だ。著者は自分のことを「決められない症候群」と呼ぶほど、自分の選択と決断に自信がなかった。そんな著者がどうやって、「決断のプロ」になったのか、選択と決断のための具体的なノウハウを凝縮したのが本書だ。原書の『選択と決定はタイミングだ』は韓国本国で発売2週間で韓国大手書店で自己啓発ジャンルで1位になるなど注目を集めている。「この本は自分の人生の主役として生きる方法を教えてくれる」「より良い選択をしたいと願う人たちにすすめたい本」など絶賛と共感の声が相次いでいる本書。今回は、本書の発売を記念して特別に本文より一部抜粋、再編集して紹介する。

後悔と愚痴の多い30代後半の男性。ネガティブな彼の人生を変えた妻のひと言とは?Photo: Adobe Stock

自分を信じてとにかくやってみよう

妻は私とはまるでちがう性格をしている。
さまざまなタイプの心理テストをすると正反対の結果が出るほど、妻は私とは考え方も行動も、話し方までちがう。

一度、今後の人生について夫婦で深く話し合ったことがあった。
結婚5年目の夫婦だからこそ話せること、この先どこに住みたいか、どんな仕事をしようか、10年先、20年先の2人にとってどんなライフスタイルが理想なのか。
そのとき、何を話してもネガティブなことを言い、ため息ばかりつく私に、妻はとても賢明な答えを出してくれた。

「どんな決断をしても、あなたが決めたこと。自分を信じて、とにかくやってみればいいじゃない」

それを聞いて、私は頭を殴られた気がした。
今までいろいろな本を読み、どれほど多くの名言に触れても、ここまで大きな気づきを得たことはなかった。
妻は思いがけず、複雑に絡み合う私の頭の中をすっきりまとめてくれたのだ。

私はどんなに小さな選択も決断もできないタイプで、後悔は尽きず、時間を巻き戻してやり直したいと思うことが多い。
妻のひと言は、そんな私の考え方や行動を変える大きなきっかけになった。

大丈夫! その決断もまた、あなただから

選択と決断が苦手な人は、その状況に置かれるとあらゆる考えに囚われる。
このやり方でいいのか?
まだ気づいていない代案があるのではないか?
こっちのほうが後悔を減らせるのではないか?

確信が持てないから心配と不安が先立ち、結果として選択と決断を遅らせる。
だが、100パーセント満足する答えなど誰にも出せないし、正解もない。
選択と決断が苦手な人はそこに気づいていないのだ。

選択と決断がうまくできる人、自分が決めたことに後悔しない人たちの姿を思い浮かべてみてほしい。その人たちには迷いがなく、推進力もあって完璧に見える。
では、はたして後悔をしないのだろうか?

そういう人たちと私たちのちがいはただ1つ。
自分が下した選択と決断をどう認識するかだ。

選択と決断をスムーズにできる人たちは、自分の選択や一度下した決断を信じて実行することに集中する。
そして実行するうえで、どんな障害や制約が生じるかを考え、それを解決することに注力する。
結果がどうあれ、自分の選択と決断を信じる。
まるで、選択し決断したことが自分自身であるかのように信じて疑わない。

反対に、私のように選択と決断がスムーズにできない人は、選択と決断の過程に「自分」が存在しない。
自分に対する信頼も確信もないためによけいに不安になり、後悔ばかり増えていく。
決めたことを実行するときでさえ、選ばなかったほうへの未練と後悔が邪魔をして集中できない。

だが、そんなことはもうやめよう。小さなことからでいい。少しずつ、これも自分だと受け入れる努力をしよう。

その最初の一歩が、自分を認めることだ。
後悔や不安を減らすためにも、自分の選択と決断もまた「自分自身」であることを受け入れよう。

人生に正解はない。その決断が凶と出るか吉と出るかは誰にもわからない。
選択と決断に対する心理的な負担を減らすには、その瞬間、瞬間の自分を信じるのが一番だ。

「思い出は胸にしまい、走り去ったバスへの未練を捨てろ」
映画『インサイダーズ/内部者たち』に出てくる一番好きなセリフだ。
発車したバスが戻ってこないように、過ぎた時間を取り戻すことはできない。
自分が下した選択と決断も、過去に戻って変えることはできないのだ。

どんな決断も、決めたのは自分だ。
後悔という言葉の中には「あとになって気づく」という意味合いもある。
新しいスタートを切るために、この言葉をぜひ覚えておいてほしい。

「大丈夫! その決断も、あなただから!」

(本稿は、チェ・フン著 李明華訳『私はすべて自分で決める。』から一部抜粋・再構成したものです)